クラウドエンジニアに興味があるけど、具体的にどんな仕事をするのかイマイチわからない… プログラマーとは違うの?インフラエンジニアとは同じ?
クラウドエンジニアの仕事内容は、IT業界未経験者にはわかりにくいです。なぜならば、映画やドラマ等で見かける機会のある「プログラマー」に比べて、「クラウドエンジニア」はIT業界以外の人は知る機会がないからです。
しかし実は、皆さんが普段使っているスマホアプリやSNSは、「クラウド」と呼ばれているコンピューターの上で動いており、クラウドエンジニアの仕事によって成り立っています。
この記事では、IT業界未経験の人でも完全に理解できるよう、具体例を使いながらクラウドエンジニアの業務内容をどこよりもわかりやすく解説しています。
この記事を読めば、クラウドエンジニアの業務について圧倒的に理解度が上がり、クラウドエンジニアへの転職可能性が高まります。
クラウドエンジニアの仕事内容
クラウドエンジニアは、AWSをはじめとするクラウドサービスのシステム設計、構築、運用・保守、セキュリティ管理などを担当します。
アマゾンが提供するクラウドサービスです。IT業界では「エーダブリューエス」という通称で呼ばれてます。
クラウドエンジニアはITインフラの柔軟性やスケーラビリティを高めながら、効率的なITインフラの管理をクラウドサービス上で行います。
例えば、クラウドエンジニアの設計の仕事は以下です。
- 扱うデータタイプから、どのデータベースサービスを選定するか。
- ネットワークのセキュリティレベルから、どのネットワークサービスを選定するか
- どのような設定をクラウドサービス上で行えば要件を満たすかを考える
クラウドエンジニアはサーバーエンジニアやネットワークエンジニアと混同されますが、サーバーエンジニアやネットワークエンジニアはそれぞれの担当がサーバーやネットワークであるのに対し、クラウドエンジニアの担当範囲はクラウドサービス上とその周辺範囲です。
クラウドエンジニアが扱うクラウドとは
クラウドエンジニアは、ITインフラの構築・保守運用管理をクラウドサービス上で行います。
情報技術(IT)の基盤となるインフラストラクチャです。
これは、コンピューターシステムやネットワーク、データストレージ、サーバー、ソフトウェア、データセンターなど、企業や組織が情報を処理・管理するための物理的な装置や技術的な基盤を含みます。
ITインフラは、情報の処理や通信、データの保管・共有などの目的で使用されます。
ITインフラとしてのクラウドサービスは、従来のオンプレミス環境に代わる新しい形態のITインフラストラクチャです。クラウドサービスでは、インターネット経由でリモートのデータセンターやサーバー上のリソースを利用できます。
クラウドサービスの特徴①柔軟なリソースサイジング
クラウドサービスは、必要に応じてリソースを迅速に拡張したり、縮小したりすることができます。
なぜならITインフラとしてのクラウドサービスには、柔軟性と拡張性という特徴があるからです。
クラウドサービスの特徴②コストパフォーマンス
ITインフラとしてのクラウドサービスはコスト効率に優れています。なぜならクラウドサービスでは、必要な分だけリソースを利用するため、運用コストを最適化できるからです。
クラウドサービスの特徴③高い可用性・対障害性
AmazonやMicrosoftのようなクラウドプロバイダーは、複数のデータセンターや東京・大阪などの地区で区切ったリージョン(地区)を利用してサービスを提供しています。
クラウドサービスの特徴④高いレベルのセキュリティ対策
クラウドプロバイダーはセキュリティに関する最新の技術やプラクティスを導入しており、データの保護やプライバシーの確保に配慮しています。
主要なクラウドサービス
IT業界で浸透しているクラウドサービスは以下の3つです。
Amazon Web Services(AWS)
Amazonが提供するクラウドサービスです。
仮想サーバー(EC2)やデータベース(RDS)、ストレージ(S3)、コンテナオーケストレーション(ECS、EKS)などの様々なサービスを提供しています。
IT業界では「AWS」(エーダブリューエス)と呼ばれています。
Microsoft Azure
Microsoftが提供するクラウドサービスです。
WindowsやLinuxの仮想マシン、データベース、AI・機械学習サービス、IoTサービスなどを提供しています。
IT業界では「アジュール」と呼ばれています。
Google Cloud Platform(GCP)
Googleが提供するクラウドサービスです。
Googleのインフラストラクチャを利用したコンピューティングやストレージ、データ分析、人工知能、機械学習などのサービスを提供しています。
IT業界では「GCP」(ジーシーピー)と呼ばれています。
クラウドエンジニアの具体的な仕事内容
- クラウドインフラストラクシャの設計と構築
- システム運用や管理の効率化
- 監視とトラブルシューティング
- セキュリティ管理
- コスト最適化
以下、順に解説します。
クラウドエンジニアの仕事内容①クラウドインフラストラクチャの設計と構築
クラウドエンジニアの主な仕事の1つ目は、クラウドインフラストラクチャの設計と構築です。
システムやアプリケーションの要件に基づいて、適切なクラウドサービスを選定し、アーキテクチャを設計する作業です。
設計後は、クラウドプラットフォーム上にインフラストラクチャを構築します。
インフラストラクチャの設計と構築では、まずクライアントからのヒアリングによるシステムやアプリケーションの要件の把握が重要です。
要件を基に適切なクラウドサービスやリソースを選定します。
具体的には、構築するシステムを実現するためには、AWSかAzureのどちらが要件をクリアできるかをクラウドサービスの内容や費用などを複合的に比較し決定します。
次に、選定したサービスを組み合わせてアーキテクチャを設計し、リソースの配置やネットワーク構成などを決定します。例えば、AWSでの場合、仮想サーバー(EC2)、データベース(RDS)、ストレージ(S3)などのサービスを組み合わせて、システムのインフラストラクチャを構築します。
最後に、設計したアーキテクチャに基づいて、クラウドプラットフォーム上にリソースを構築し、システムを稼働させます。
このプロセスでは、セキュリティやパフォーマンス、コストなどの要件にも配慮しながら、クラウドサービス上で最適なITインフラを構築するのもインフラエンジニアの重要な役割です。
クラウドエンジニアの仕事内容②システム運用や管理の効率化
クラウドエンジニアの主な仕事の2つ目は、システム運用や管理の効率化です。
クラウドエンジニアは、自動化とスクリプティングを活用して、システムの運用や管理を効率化します。
具体的には、インフラストラクチャのコード化や自動化スクリプトの作成によって、繰り返し行う作業や定期的な保守を自動化します。
例えば、AWSのCloudFormationなどを使用して、インフラストラクチャのコードを記述し、リソースの作成や設定の自動化が可能です。
また、自動化により、システムの運用や管理を効率化してクラウドエンジニアの作業時間を減らせば、クラウドエンジニアの生産性も向上できます。
近年、既存のシステムをクラウドサービス上で運用させる移行プロジェクトや新規構築プロジェクトが一般的になっており、クラウドエンジニアが参画するプロジェクトは増加傾向にあります。
クラウドエンジニアの仕事内容③監視とトラブルシューティング
クラウドエンジニアの主な仕事の3つ目は、システムの監視とトラブルシューティングです。
システムが正常に稼働しているかを常に監視し、問題が発生した場合には迅速に対処します。具体的には、クラウドサービスが提供しているモニタリングツールを使用し、システムのパフォーマンスや可用性の監視です。
異常が検出された場合は、ログなどを分析し原因を特定し、適切な対策を講じる必要があります。
システムの運用要件によりますが、システムが24時間稼働しなければいけない場合は監視項目を増やし、少しでも異常があれば検知して対応しなければいけません。
ただし、監視項目は増やし過ぎると煩雑化してしまうため、システムの特性を把握した上で設定する必要があります。
異常が検出された場合には、ログやメトリクスを分析して原因を特定し、適切なトラブルシューティングを講じます。
発生したトラブルを収束させて平常時と同じ状態にするために以下の対策を施します。
- サイバー攻撃対応
- プログラム修正
- サーバー再起動
- 環境のスケールアップ
また、災害復旧計画の策定と実施もクラウドエンジニアの役割の一つです。
システムのバックアップやレプリケーション、フェイルオーバーなどの適切な対策を策定した上で、災害発生時に迅速な復旧を実現することが求められます。
クラウドサービスに関する幅広い知識が必要です。
クラウドエンジニアの仕事内容④セキュリティ管理
クラウドエンジニアの主な仕事の4つ目は、セキュリティ管理です。
クラウド環境におけるセキュリティ管理は、システム内に保存されている重要データを保護するために不可欠です。
クラウドサービス上に存在するさまざまなセキュリティ管理機能を活用します。
使用するクラウドサービスによって、セキュリティ管理機能が異なるため、新たに環境構築する場合は、注意深く比較検討した上で設計します。
なぜなら、万が一セキュリティ不備で問題が起きた場合、責務はクラウドサービス提供会社ではなく、使用者側にあるからです。
そのため、クラウドエンジニアは豊富なセキュリティ知識とクラウドサービスを駆使して、複雑なセキュリティ要件をクリアする必要があります。
AWS利用時のセキュリティ管理の例
AWSを利用する際、セキュリティの要素は以下の3種類に分けられます。
- 暗号化
- ネットワークアクセス制御
- 権限管理
上記の要素を適切に管理することで、クラウド環境を安全に保てます。
暗号化
AWSでは、データの暗号化を通じてセキュリティを強化するための多くのオプションを提供しています。
例えば、AWS Key Management Service (KMS) は、データ暗号化キーの作成や管理を簡単に行えるサービスです。
クラウドエンジニアは、KMSを使用して、S3バケット内のデータやEBSボリューム、RDSデータベースの暗号化を行います。
これにより、保存中のデータ(データアットレスト)の安全性が保障され、不正アクセスによるデータの漏洩リスクを大幅に下げられます。
ネットワークアクセス制御
AWSのネットワークアクセス制御は、Virtual Private Cloud (VPC) を中心に構成されます。
VPC内で、クラウドエンジニアはサブネットを定義し、セキュリティグループやネットワークアクセス制御リスト(ACL)を設定して、インバウンドおよびアウトバウンドのトラフィックを細かく制御します。
例えば、セキュリティグループを使用して特定のポートへのアクセスを制限したり、特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可できます。
このような設定により、不正なネットワークアクセスを防ぎ、システムへの不正侵入のリスクを低減します。
権限管理
権限管理の例を挙げると、AWSのIdentity and Access Management (IAM) は、AWSリソースへのアクセスを安全にコントロールするためのサービスです。
クラウドエンジニアはIAMを使用して、個々のユーザーやグループ、AWSサービスに対する詳細なアクセス権限を設定します。IAMポリシーを通じて、特定のリソースへのアクセス権限を細かく定義できます。
これにより不要なリソースへのアクセスを防ぎ、権限の過剰付与を避けられます。
また、IAMロールを利用することで、AWSサービス間の安全なアクセス許可の委任ができます。
これらのAWSセキュリティ機能を適切に組み合わせれば、クラウドエンジニアは組織のクラウド環境を高度に保護できます。
セキュリティは継続的に見直す分野であるため、最新のサイバー攻撃などの脅威に対応し、セキュリティ対策を常に更新し続ける必要があります。
クラウドエンジニアの仕事内容⑤コスト最適化
クラウドエンジニアの主な仕事の5つ目は、コスト最適化です。
クラウドコサービスのコスト最適化は、資源を効率的に使用し、無駄な支出を削減することに焦点を当てます。
クラウドサービスは、必要に応じてリソースを迅速に拡張したり、縮小したりすることができます。
クラウドサービスのメリットである、必要な分だけリソースを利用するため、無駄を排除し運用コストの最適化が可能です。
AWS利用時のコスト最適化の例
AWSでは、Amazon EC2 Reserved Instances(予約インスタンス)とSavings Plans(セービングプラン)を用いるとコスト削減に役立ちます。
予約インスタンスやセービングプランを利用することで、長期間にわたるサービス利用を確約する代わりに、EC2インスタンスの使用料金を削減できます。
また、クラウドサービスに使用できる予算が決まっている場合などは、クラウドエンジニアは、過去の使用状況を分析して、予算内に収まるかなどの確認を行い、今後の計画を立てる必要があります。
他にもAWS Budgetsを設定して予算を管理し、Cost Explorerを使用してコストと使用状況のデータを分析することで、コストの急増を早期に検出し、不要なリソースの削減や予算超過のリスクを最小限に抑えられるサービスがあります。
クラウドエンジニアとインフラエンジニアの仕事内容の違い
クラウドエンジニアとインフラエンジニアは、両者ともシステムの構築・運用に携わりますが、アプローチ方法や扱う技術に違いがあります。
インフラエンジニア | 従来の物理的なサーバーやネットワーク機器を管理し、オンプレミスの環境での設計・運用が担当です。 |
クラウドエンジニア | クラウドサービスを活用した仮想化されたリソースやコンテナを扱い、サービスの自動化やスケーリングも担当します。 |
インフラエンジニア | 従来の物理的なサーバーやネットワーク機器を管理し、オンプレミスの環境での設計・運用が担当です。 |
クラウドエンジニア | クラウドサービスを活用した仮想化されたリソースやコンテナを扱い、サービスの自動化やスケーリングも担当します。 |
クラウドエンジニアは、インフラエンジニアが取り扱うITインフラの知識に加えて、クラウド独自の知識を有しているエンジニアです。
クラウドエンジニアの仕事の醍醐味
クラウドエンジニアの仕事には、多くの魅力があります。
まず、クラウドサービスという新しい技術やサービスに触れることができる点が挙げられます。
クラウド技術は急速に進化しており、常に最新のツールやサービスが導入されています。そのため、クラウドエンジニアとして働けば、最先端の技術に触れながらスキルを磨けます。
また、クラウド環境はスケーラブルであり、大規模なシステムの構築や運用に携われる点も魅力的です。
さらに、クラウドエンジニアは、自動化やインフラストラクチャのコード化を通じて、効率的なシステム運用を実現できます。
まとめ
以上、クラウドエンジニアの仕事内容について解説しました。改めてまとめると以下の通りです。
クラウドエンジニアの仕事内容 | クラウドインフラストラクシャの設計と構築 システム運用や管理の効率化 監視とトラブルシューティング セキュリティ管理 コスト最適化 |
クラウドエンジニアが扱うクラウドとは | クラウドサービス事業者が提供するITインフラサービス。 インターネット経由でリモートのデータセンターやサーバー上のリソースを利用でる。 代表的なクラウドサービスは以下の3つ。 Amazon Web Services(AWS) Microsoft Azure Google Cloud Platform(GCP) |
クラウドエンジニアとインフラエンジニアの仕事内容の違い | ITインフラに対するアプローチ方法や扱う技術が異なる。 インフラエンジニアは、従来の物理的なサーバーやネットワーク機器を管理し、オンプレミスの環境での設計・運用を担う。 クラウドエンジニアは、クラウドサービスを活用した仮想化されたリソースやコンテナを扱い、サービスの自動化やスケーリングも担う。 |
クラウドエンジニアの仕事の醍醐味 | クラウドサービスという新しい技術やサービスを触れる。 |
クラウドエンジニアの仕事内容 | クラウドインフラストラクシャの設計と構築 システム運用や管理の効率化 監視とトラブルシューティング セキュリティ管理 コスト最適化 |
クラウドエンジニアが扱うクラウドとは | クラウドサービス事業者が提供するITインフラサービス。 インターネット経由でリモートのデータセンターやサーバー上のリソースを利用でる。 代表的なクラウドサービスは以下の3つ。 Amazon Web Services(AWS) Microsoft Azure Google Cloud Platform(GCP) |
クラウドエンジニアとインフラエンジニアの仕事内容の違い | ITインフラに対するアプローチ方法や扱う技術が異なる。 インフラエンジニアは、従来の物理的なサーバーやネットワーク機器を管理し、オンプレミスの環境での設計・運用を担う。 クラウドエンジニアは、クラウドサービスを活用した仮想化されたリソースやコンテナを扱い、サービスの自動化やスケーリングも担う。 |
クラウドエンジニアの仕事の醍醐味 | クラウドサービスという新しい技術やサービスを触れる。 |
クラウドエンジニアへの転職に興味がある人は参考にしてください