IT企業の事務職への転職に興味があるけど、具体的な役割や仕事内容をイメージできない… 普通の事務職と違うのかな…?
IT事務職は、いわゆる一般的な事務職とは異なる面が一部あります。
IT事務職の具体的な仕事内容をイメージできないままIT事務職に転職してしまうと、あなたの性格や気質とあっていない仕事をしなければいけない辛い事態に陥るリスクがあります。
この記事では、実際にIT事務職として勤務経験のある筆者が、実体験を元にIT事務職の仕事内容について未経験者にもわかるよう具体的に解説しています。
この記事を読めば、IT事務の仕事内容を極めて具体的に理解し、IT事務への転職失敗を回避できます。
IT事務職とは
IT企業に勤める事務職員のことを、IT事務職と呼びます。
IT事務職の役割は、所属企業の従業員が各々の役割に集中し、最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、事務作業を引き受けることです。
具体的には、書類作成やデータ入力などの一般的な事務作業に加え、ITに関する業務も担当します。
IT関連業務といっても、はじめは基本的なPC操作ができれば問題ありません。
ただし、業務を円滑に遂行していくためには、IT知識も必要です。エンジニアのように専門的な知識を身に付ける必要はありませんが、基本的なITの知識は習得しなくてはならない職種です。
IT事務の仕事内容【どんな仕事?】
IT事務の仕事は一般的な事務作業からIT関連業務まで、多岐にわたるのが特徴です。具体的な業務内容は以下です。
- 書類作成
- 売上確認業務
- OA機器の初期設定
- データ入力・調査等の定型作業
以下、順に解説します。
IT事務の仕事内容①書類作成
IT事務の業務では、さまざまな書類を作成します。社内で使用するものから社外へ送付するものまで、作成する書類は多岐にわたります。
担当する書類の例は以下です。
- 見積書
- 請求書
- 納品書
- 顧客へ送付する案内文書
- 社内マニュアル
- 社内会議用アジェンダ
- 議事録
どの書類も、担当者との連携が不可欠です。
正確、かつ効率的に書類作成するために、適切なコミュニケーションを取りながら業務を進めていきます。
IT事務の仕事内容②売上確認業務
IT事務職は請求書の発行を担当しますが、発行して終わりではありません。
期日までに入金されることを確認するまでが業務範疇です。そのため、会社の口座に入金された金額と請求データを確認し、その後に売上を集計します。
イレギュラーなケースとして、期日までに入金がない場合や、入金金額が異なる場合は営業部へ伝達し、顧客へ連絡をとってもらうこともあります。
売上確認業務では、売上を回収するという重要な役割を担っているのです。
IT事務の仕事内容③OA機器の初期設定
新入社員用のOA機器の手配や準備もIT事務職が担当する業務です。
PC、スマートフォンなど、社員が業務で使う電子機器を指します。
新入社員が入社してすぐにOA機器を使えるよう、PCなどの端末の手配と初期設定をおこないます。
各種アカウント発行やセキュリティ設定は時間がかかるものもあるので、入社日から逆算して段取り良く進めていきます。
機器のセットアップをあらかじめしておくことは、スムーズに研修へ移行するために重要な役割を果たしています。
IT事務の仕事内容④データ入力・調査等の定型作業
定型作業の一環として、データ入力や調査等、社内で使用するさまざまなデータを作成する業務があります。
たとえば私は以下の定型作業を担当しています。
- 顧客データのシステム登録
- 問い合わせ件数の集計(定例会議用)
- 売上入力・集計
- サービス利用率調査(営業部が戦略を練るために使用)
その他にも、単発で依頼されたデータ入力や調査等をおこなうこともあります。
IT事務と一般事務の違い
IT事務と一般事務の違いは、業務範囲です。
一般事務 | データ入力、書類作成、電話対応、来客対応 |
IT事務 | 一般事務の業務に加えて、ITに関連する業務も担当する |
IT事務が担うIT関連業務の例は以下の通りです。
- OA機器の発注・管理
- OA機器の初期設定
- サービスの検証作業
IT事務と一般事務の違いは業務範囲にあり、一般的な事務作業にIT関連業務が加わるのがIT事務の特徴です。
IT事務は未経験でもできる?
IT事務は未経験でもできる職種です。
IT業界は人手不足のため、未経験者も積極的に受け入れています。
基本的なPCスキルさえあれば、業務に必要な知識は入社後につけて活躍してもらおうという考えです。
そのため、IT事務を募集している多くの企業は、入社時の研修制度やマニュアルが充実しています。
始めは煩雑で難しく感じる作業も、ルーティンワークとして同じ作業を繰り返すので次第と知識がつきスムーズに対応できるようになります。
これらのことより、IT事務は未経験でも問題なくできる職種といえるでしょう。
IT事務に必要なスキル
IT事務の業務をおこなう上で、コミュニケーションスキルは欠かせません。
なぜならば、IT事務の業務は1人で完結する仕事ではないためです。業務を進めるにあたって、必ず複数の関連部署や顧客とのやり取りが発生します。
たとえば、新サービスを開発するプロジェクトでは、開発部門やマーケティング、営業と共同でプロジェクトを遂行します。
コミュニケーションに問題があると、業務進捗が遅くなってしまったり、ミスを引き起こしてしまったりしかねません。
円滑なコミュニケーションをとるスキルは、IT事務に必須です。
IT事務の1週間のスケジュール例
以下、IT事務として働く私の業務スケジュール例です。
月曜日
時間帯 | 業務 |
---|---|
9:00~10:30 | メールチェック、顧客からの問い合わせ対応 |
10:30~11:00 | サービスの不具合を担当部署に報告 |
11:00~12:00 | 顧客へ導入後フォローの連絡 |
13:00~15:00 | データ入力、前週の売上集計 |
15:00~17:00 | 新サービスのテスト操作、レビュー |
火曜日
時間帯 | 業務 |
---|---|
9:00~10:30 | メールチェック、顧客からの問い合わせ対応 |
10:30~11:30 | 入金関連業務 |
11:30~12:00 | データ入力 |
13:00~14:00 | 書類作成、チェック依頼、修正 |
14:00~17:00 | 顧客分析、共有 |
水曜日
時間帯 | 業務 |
---|---|
9:00~10:00 | メールチェック、顧客からの問い合わせ対応 |
10:00~11:00 | チーム会議 |
11:00~12:00 | 集計作業 |
13:00~16:00 | OA機器設定 |
16:00~17:00 | 商談同席 |
木曜日
時間帯 | 業務 |
---|---|
9:00~10:30 | メールチェック、顧客からの問い合わせ対応 |
10:30~12:00 | 前日の商談の議事録作成、共有 |
13:00~14:00 | 全社会議 |
14:00~16:00 | 競合他社の調査、改善案検討 |
16:00~17:00 | メルマガ設定 |
金曜日
時間帯 | 業務 |
---|---|
9:00~10:30 | メールチェック、顧客からの問い合わせ対応 |
10:30~12:00 | プロジェクト会議 |
13:00~15:00 | データ入力、集計作業 |
15:00~16:30 | 顧客のサービス使用率調査 |
16:30~17:00 | 翌週の準備 |
IT事務に残業はある?
IT事務として勤務する場合、残業はほとんどありません。なぜならば、業務の大半がルーティンワークなためです。
ルーティンワークがメインなので、タスクが重なる時期を事前に予測できます。
また、突発的なトラブル対応が少ないのも残業が少ないひとつの理由です。
IT事務に資格は必要?
IT事務になるために必要な資格はありません。
なぜならば、「事務作業を引き受け、社員をサポートする」という役割は特定の資格を持っていなくても達成できるためです。
中途採用の選考では、資格よりも実践的な能力が評価されます。有資格者というだけでは、サポート役として活躍できるかは見極められません。
ただし、基本的な知識ややる気をアピールするために、以下の資格を取得しておくと選考でプラスに働くこともあります。
- ITパスポート
- マイクロソフトスペシャリスト(MOS)
IT事務になるために資格は必要ありませんが、基本的なPC操作は可能なことは選考で伝えた方が良いでしょう。
IT事務として働くメリット
IT事務として働いて感じたメリットは、以下の3点です。
- IT知識が自然に身に付く
- 未経験でも事務職として働ける
- 自由度の高い環境で働ける
以下、順に解説します。
メリット①IT知識が自然に身に付く
IT事務は、業務上でエンジニアとの関わりが多く、自然とIT知識が深まるのが他の事務職にはないメリットです。
エンジニアは専門的な知識を持っていることはもちろん、IT関連の情報収集も常に行っています。そのため、業務を効率的に遂行するための便利なツールや効率的な方法を教えてくれることもあります。
IT知識の高い人材と日々やり取りをするだけで、自然に知見が身に付いていくのです。
メリット②未経験でも事務職として働ける
転職市場で事務職は倍率が高く、未経験で事務職へ転職するのは難しいのが現実です。
なぜならば、IT業界は人手不足の企業が多いためです。
実際に転職サイトで事務職の求人を確認してみると、一般事務は未経験者不可なものが目立ちますが、IT事務は未経験可な求人が多数出ています。
未経験で事務職への転職を希望している人は、IT事務なら採用される可能性があります。
メリット③自由度の高い環境で働ける
IT企業では、職場環境が自由です。
実際にIT事務として勤務する私は、対面での顧客対応がないため私服勤務が許可されています。
その他にも、「在宅勤務あり」「勤務時間は柔軟に対応」など、一般的な企業と比較すると自由な環境です。
自由度が高い分、自己管理能力や実績が求められますが、逆に言えばそれができる人にとっては快適な環境といえます。
IT事務として働くデメリット
私がIT事務として働く中で感じたデメリットは、ルーティーンワークがある点です。
IT事務の業務は、一般事務を兼ねているためルーティンワークも一定存在します。
問い合わせ対応などの毎日行う業務や、週次の売上集計、月次の請求業務など、ルーティンワークをおこなうだけで1日が終わってしまうことも珍しくありません。
まとめ
以上、IT事務職について解説しました。改めてまとめると以下の通りです。
IT事務職とは | 所属企業の従業員が各々の役割に集中し、最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、事務作業を引き受けるIT企業の事務職。 |
IT事務の仕事内容 | 売上確認業務 書類作成 OA機器の初期設定 データ入力・調査等の定型作業 |
IT事務と一般事務の違い | 一般事務は、主にデータ入力や書類作成、電話対応、来客対応を担う。 IT事務は一般事務の業務に加えて、ITに関連する業務も担当する。 |
IT事務は未経験でもできる? | IT事務は未経験でもできる職種。 |
IT事務に必要なスキル | 正しく報告・連絡・相談を行うコミュニケーションスキル |
IT事務に残業はある? | 残業はほとんどない。 なぜならば、業務の大半がルーティンワークだから。 |
IT事務に資格は必要? | IT事務になるために必要な資格はない。 なぜならば、「事務作業を引き受け、社員をサポートする」という役割は特定の資格を持っていなくても達成できるから。 |
IT事務として働くメリット | IT知識が自然に身に付く 未経験でも事務職として働ける 自由度の高い環境で働ける |
IT事務として働くデメリット | 知識のアップデートが必要 ルーティンワークが多い |