ITエンジニアのキャリアプラン・キャリアパスは?キャリアップの具体例

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ITエンジニアのキャリア
ITエンジニアに興味がある人

ITエンジニアに転職したとして、その後どんなキャリアを辿るのだろう…

ITエンジニア

ITエンジニアとして一人前にはなれた気がする。このまま一生ITエンジニアとして仕事をしていくのかな…

実は、ITエンジニアのほとんどは一定のスキル・経験を積んだ後はどのキャリアに進むのか選択に迫られます。

一定のスキル・経験を積んだITエンジニアが選ぶその先のキャリアパス

  • マネジメント職種への道へ進む
  • ゼネラリスト(フルスタックエンジニア)の道へ進む
  • スペシャリストの道へ進む
  • ITエンジニアのスキル・知識を活かせる別の職種へ進む

自身の性格ややりがいを感じる仕事内容に応じて、キャリアパスを選ぶべきです。

この記事では、ITエンジニア経験者が、ITエンジニアの各キャリパスの特徴や、その道へキャリアップするメリット・デメリットまで詳細を解説しています。

この記事を読めば、あなたがITエンジニアからどのキャリアパスを選択すべきか理解し、キャリアップの成功確率が高まります。

目次

ITエンジニアのキャリアパス

ITエンジニアへの就職・転職に成功した場合、まずはじめに経験するのが、プログラマーやテストエンジニアと呼ばれる職種です。

一般的にシステム開発は以下のような流れで進めます。

工程主な作業主な成果物
要件定義クライアントからのヒアリング内容などを元に、システムで対応するべきことを定義する。要件定義書
基本設計要件定義の内容を元にインターフェース(画面の表示項目・APIなどとやり取りするデータの内容)を決める。基本設計書
詳細設計要件定義や基本設計の内容を元に処理の詳細などを決定する。詳細設計書
製造設計工程で決められた仕様を元にプログラミングを行う。プログラム
テスト製造工程の成果物(プログラムなど)が、要件定義や設計書に記載された仕様通りとなっているかを検証する。テスト仕様書

上記工程の内、要件定義〜基本設計までを「上流工程」、詳細設計〜テストまでを「下流工程」と呼びます。

エンジニアとしてキャリアをスタートした当初は下流工程を担い、スキルを上げるに連れて上流工程を担うようになります。

STEP
エンジニアとしてのキャリアスタート時

プログラマーは製造工程にて設計書に記載された仕様通りにプログラミングを行います。テストエンジニアは、製造工程の成果物であるプログラムが仕様通りであるかを確認するのが主な業務です。

プログラマーやテストエンジニアとして一定のキャリアを積んだ後は、システムエンジニアという職種へキャリアアップします。

STEP
システムエンジニアとして着実に経験・スキルを高めていく

システムエンジニアは、要件定義や基本設計などの上流工程に対応しつつ、クライアントとの折衝や社内関係部署との調整なども行います。

システムエンジニアとして経験を積んだ後は、各自の専門性やキャリアプランにそって様々な職種へと進みます。

STEP
それまでの経験や自身の得意領域に応じて進むキャリアが別れる

システムエンジニアから先の進むキャリアの道は、それぞれの経験や進みたい道に応じて異なります。以下にて、具体的なキャリアプランの例を解説します。

ITエンジニアのキャリアプラン例①:マネジメント系職種へキャリアップ

マネジメント系職種は、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーなどが挙げられます。

これらの職種は、プロジェクト全体を適切にマネジメント(管理)し、完遂に導くことが主な役割です。具体的な仕事内容の例は下記です。

マネジメント系職種の仕事内容
  • 品質の管理
  • 開発コストの管理
  • スケジュールの管理
  • プロジェクトスコープの管理
  • クライアントや関係者との折衝

プロジェクトが成功するか否かは、プロジェクトマネージャーなどマネジメント系職種の仕事ぶりにかかっています。なぜならば、プロジェクトマネージャーの1つひとつの判断によって、プロジェクト全体が進む方向が決まるからです。

マネジメント系職種に向いている人の特徴は次の通りです。

  • 責任感が強い人
  • 全体を俯瞰するのが好きな人
  • コミュニケーションが得意な人

マネジメント系職種は、プロジェクトの責任を負います。判断はもちろん、自分自身の言動や振る舞いがメンバーの士気を左右することもあるのです。

そのため、責任感が強い人はプロジェクトマネージャーに向いています。

また、プロジェクトをマネジメントするためには、全体を見渡す視点や様々な人とのコミュニケーションが求められます。このような特徴を持つ人もマネジメント系職種の適性があるといます。

ITエンジニアからマネジメント系職種へキャリアアップするメリット

  • 突出した技術力が無くても年収が上がりやすい
  • 汎用性が高く転職市場での需要が大きいため今後仕事に困らない
  • 最新技術を求められ続けるITエンジニアの十字架から解放される

以下、順に解説します。

突出した技術力が無くても年収が上がりやすい

数あるITエンジニア系職種の中でもマネジメント系職種は高年収の部類に入る一方で、突出した技術力が求められません。

ITエンジニアには高年収を狙える職種がたくさんあります。具体的には次の通りです。

マネジメント系職種以外で高年収を狙えるITエンジニアの職種
  • AIエンジニア
  • セキュリティエンジニア
  • アーキテクト

これらの職種になるためには、各専門分野の知識はもちろん、突出した技術力が求められます。

一方でマネジメント系職種は、プロジェクトマネジメントに関する知識は必要であるものの、プログラミングや最新技術に関する知識は必須ではないのです。

技術に特化していなくても高年収を狙える点は、マネジメント系職種のメリットです。

汎用性が高く転職市場での需要が大きいため今後仕事に困らない

マネジメント系職種はどの企業も積極的に採用しており市場価値や需要が高いため、転職しやすい点もメリットです。

一般的に、下流工程になるほど対応できるエンジニアの数は多く、上流工程になるほど対応できるエンジニアの人数は少なくなります。

上流工程を担当するプロジェクトマネージャーなどのマネジメント系職種は、業界でも絶対数が少なく転職活動を行えば「引く手あまた」の状態となります。

また、マネジメント系職種に必要なマネジメント系スキルは汎用性が高く、どのようなプロジェクトであっても通用する普遍的なものです。そのため、活躍するフィールドが広い点もメリットといえます。

最新技術を求められ続けるITエンジニアの十字架から解放される

マネジメント系職種へキャリアアップすれば、常に最新技術をキャッチアップしなければならないITエンジニアの十字架から解放されます。

IT業界は目まぐるしいスピードで、日々進化を遂げています。例えば、数年前まで主流だったプログラミング言語が、新たな言語の登場により一気にシェアを落としてしまうことも珍しくありません。

このような業界で継続して活躍するためには、プライベートの時間も割いて自己研鑽に取り組み続けなければなりません。

一方でマネジメント系職種に求められるプロジェクトマネジメント関連のスキルは、普遍的なものが多く、一度習得すればその後も活用できます。

以上をふまえ、常に最新技術をキャッチアップする必要がない点はマネジメント系職種にキャリアアップするメリットです。

ITエンジニアからマネジメント系職種へキャリアアップするデメリット

  • プログラムよりも人を相手とした仕事が主体となる
  • 技術力を競い合うエンジニアの第一線からは退く

以下、順に解説します。

プログラムよりも人を相手とした仕事が主体となる

ITエンジニアからマネジメント系職種へキャリアアップすると、仕事の対象が「プログラム」から「人」へと移行します。

マネジメント系職種は、その名の通りプロジェクトをマネジメントするのが主な業務です。具体的には以下の業務を担います。

  • メンバーの進捗管理
  • メンバーの心身のケア
  • 社内の関係各所との調整
  • 経営層への報告
  • クライアントとの折衝
  • 外部ベンダーとの打ち合わせ

以上をふまえ、プログラミングが好きでITエンジニアになった人にとっては、マネジメント系職種へのキャリアアップはデメリットとなる可能性があります。

技術力を競い合うエンジニアの第一線からは退く

マネジメント系職種へキャリアアップすると、ITエンジニアの第一線からは退くこととなります。

ITエンジニアは「マネジメント系職種」と「技術系職種」の2つに分けられます。技術系職種は、周囲のメンバーなどと切磋琢磨しながら互いを高めあうことになりますが、マネジメント系職種は技術系職種のような技術研鑽は求められません。

もちろん、中にはプロジェクトマネージャーを担当しながらプログラミングをこなす人もいます。しかし、大抵の場合はマネジメント系職種としてキャリアアップするために技術の追求を諦めざるを得ないことになります。

「ITエンジニアたるもの技術を磨くべき」という人にとっては、開発の第一線から退場しなければならないマネジメント系職種はデメリットとなります。

ITエンジニアのキャリアプラン例②:スペシャリストとしてキャリアアップ

ITエンジニアは、スペシャリストへのキャリアアップも目指せます。

スペシャリスト系職種とは、その名前が表すように特定の分野において突出した技術力をもつエンジニアを指します。主なスペシャリスト系職種と仕事内容は次の通りです。

スペシャリスト系職種主な仕事内容
DBスペシャリストデータベースの設計・開発・管理・運用などを担当する。
ネットワークスペシャリスト大規模なネットワークの設計・構築・運用などを担当する。
セキュリティスペシャリストクライアントの情報システムなどを分析・評価し、セキュリティ対策を支援・推進する。
AIエンジニアAI関連システムの設計・開発などを担当する。
アーキテクトクライアントの要求をもとにシステム全体の構成(アーキテクチャ)を設計する。

プログラマーやシステムエンジニアは、ITエンジニアの中でも下位の職種に分類されます。より年収を上げるには、自社はもちろん業界内でも誰にも負けない武器をもつことが重要です。

次の特徴に該当する人は、スペシャリストに適性があります。

  • 1つの物事にじっくり取り組むことが好きな人
  • 負けず嫌いな人

スペシャリストになるには、同じ分野を学び続ける必要があります。そのため、物事に継続的に取り組むことを好む人は、スペシャリストに向いています。

また、モチベーションを維持するには「周囲のエンジニアには負けない」という競争心も重要です。

ITエンジニアからスペシャリストとしてキャリアアップするメリット

  • 市場から高い評価を受けて年収を上げやすい
  • 自分の興味関心を突き詰められる
  • 社外からも評価されるレベルになれば仕事に困らない

以下、順に解説します。

市場から高い評価を受けて年収を上げやすい

スペシャリストは誰もがなれるわけではなく絶対数は限られているため、市場から高い評価を得ることができます。その結果、比較的簡単に年収アップできます。

ITエンジニアの市場価値を高めるためには「この人を採用したい」と思われるスキルや経験を蓄積する必要があります。スペシャリストであれば、ある特定分野で秀でたレベルに到達しているため、その条件を満たせるのです。

自分の興味関心を突き詰められる

ITエンジニアになった人の多くは、プログラミングが好きだったりスキルを伸ばしたいと考えているはずです。

しかし、マネジメント系職種に進んでしまうと、業務でプログラミングする機会は確実に減ってしまいます。中には「自分が本来やりたいこと」と「自社から求められる役割」のギャップに不満を感じる人も少なくありません。

一方でスペシャリストへとキャリアアップすれば、自身が興味を持つ分野や関心がある分野をとことん極められます。

社会人になると、自分がやりたくないことや興味がないことにも対応しなければなりませんが、スペシャリストになれば自分が好きなことに集中できます。

社外からも評価されるレベルになれば仕事に困らない

一般的に「代わりがすぐ見つかる人材」であるほど、転職の難易度は高くなります。なぜならば、自身の競合となる人材が多く、その競争を勝ち抜く必要があるためです。

一方で社外からも評価されるレベルや業界で名が知れた人材になれば、仕事に困ることはなくなります。さらに企業側からスカウトされる可能性も高まります。

スペシャリストになれば仕事に困らなくなるのは大きなメリットです。

ITエンジニアからスペシャリストとしてキャリアアップするデメリット

  • スペシャリストとして学び続ける姿勢が必要
  • エンジニアとしては自身よりレベルが低いマネージャーにマネジメントされる

以下、順に解説します。

スペシャリストとして学び続ける姿勢が必要

業界でもスペシャリストとして活躍する人は多くありません。なぜならば、特定分野に対して突出したスキルレベルが求められるためです。

当然ながらハイレベルのスキルを身につけるためには、スペシャリストとして継続的に学び続ける姿勢が求められます。

また、目まぐるしく変化しているIT業界の中で、スペシャリストは常に最新かつ正確な知識やスキルを習得しなければなりません。

業務時間はもちろんプライベートな時間を割いてでも、自己研鑽に取り組まなければならない点はスペシャリストになるデメリットです。

エンジニアとしては自身よりレベルが低いマネージャーにマネジメントされる

高度なスキルを身につけてスペシャリストになっても、自身よりレベルが低いプロジェクトマネージャーに管理されることがあります。

ITエンジニアはスキルを身に付ければ、高度な仕事を任せてもらえるようになります。

しかし、プロジェクトを管理するのはプロジェクトマネージャーなどのマネジメント系職種です。もちろんハイスキルなプロジェクトマネージャーもいますが、プロジェクトによってはスキルが低いプロジェクトマネージャーが存在します。

このようなプロジェクトマネージャーがいるプロジェクトでは、技術に対する理解の浅さから無理な計画を強いられることも多く、しばしば対立関係へなることも珍しくありません。

自身が気持ちよく仕事に取り組むためにも「職種は上下関係ではなく役割の違い」と割り切ることをおすすめします。

ITエンジニアのキャリアプラン例③:フルスタックエンジニアとしてキャリアアップ

フルスタックエンジニアとは「何でもできるエンジニア」のことを指します。

フルスタックエンジニアは、システム開発における要件定義や基本設計などの上流工程から、プログラミングやテストなどの下流工程まで全てに対応します。従って、フルスタックエンジニアは幅広い分野のスキルを習得している必要があります。

例えば、Web開発はユーザーの目に見える部分の開発を担当する「フロントエンド」と、サーバー側の開発を担当する「バックエンド」に大別されます。

Web業界のフルスタックエンジニアは、フロントエンドとバックエンドの両方はもちろん、インフラなどに対する知見も有しているのが特徴です。

言い換えれば、1人でゼロからシステム開発を完成に導けるのが、フルスタックエンジニアといえます。

フルスタックエンジニアに向いている人は次の通りです。

  • 様々なことに興味がある人
  • 好奇心が強い人

フルスタックエンジニアは多種多様な分野のスキルを学ぶ必要があります。そのため、1つのことにこだわりを持つのではなく、さまざまな分野に興味を持てる人が向いています。

未知の分野に対して「どういう仕組みなんだろう」など、好奇心が強い人もフルスタックエンジニアの適性があります。

ITエンジニアからフルスタックエンジニアとしてキャリアアップするメリット

  • 市場から高い評価を受けて年収を上げやすい
  • CTO等の技術責任者への昇進を狙える
  • 独立しても高額な報酬を獲得しやすい

以下、順に解説します。

市場から高い評価を受けて年収を上げやすい

フルスタックエンジニアは高い市場価値を持ち、年収や待遇を上げやすいです。

フルスタックエンジニアは幅広い開発業務全域に対して高度なレベルを有しています。

フルスタックエンジニアが1人いれば、大抵の開発作業は問題なくこなせるため、プロジェクトメンバーにとっては非常に心強い存在です。

上記の理由により、多くのIT企業がフルスタックエンジニアの採用を希望しています。一方で優秀なフルスタックエンジニアは市場でも希少であるため、高い評価を受けやすく年収アップも容易に実現できるでしょう。

CTO等の技術責任者への昇進を狙える

フルスタックエンジニアは、CTO等といった技術責任者へ昇進できる可能性があります。

CTOとは

Chief Technology Officerの略であり、日本語では最高技術責任者と呼ばれています。経営層の一員であるCTOは、技術的な面において経営方針・戦略にそった判断や支援を行うのが主な仕事です。

ハイレベルなスキルはもちろん、ビジネスパーソンとしても高い能力が求められるため、ITエンジニアに関連する職種の最終到達点といえます。

開発全域に対する知見があるフルスタックエンジニアは、その視野の広さからCTO候補となるケースも多く、昇進を狙う人にとっては大きなメリットです。

独立しても高額な報酬を獲得しやすい

フルスタックエンジニアは、1人でシステム開発を遂行できる能力を有しています。さらに問題解決力も持ち合わせているため、不明点が発生しても誰かに教えてもらうことなく自身で対処可能です。

そのため、フルスタックエンジニアを経験した人は、将来的にフリーランスのITエンジニアとして独立する人も少なくありません。

フリーランスエンジニアの場合、月額単価100万円であれば月収100万円となります。一方で正社員エンジニアかつ月額単価100万円の場合、月収は30〜40万円程度です。

フリーランスとして独立しやすく高額な報酬を得られる可能性がある点はフルスタックエンジニアになるメリットです。

ITエンジニアからフルスタックエンジニアとしてキャリアアップするデメリット

  • 全方位の技術スキルを身につける必要がある
  • 会社員だと仕事が集中しやすい

以下、順に解説します。

全方位の技術スキルを身につける必要がある

フルスタックエンジニアは、全方位の技術スキルを身につけなければなりません。

フルスタックエンジニアが担う業務の範囲は、上流工程から下流工程まで幅広いです。さらにアプリ開発はもちろんインフラ面など、システム開発に必要なスキルは全て習得しなければなりません。

フルスタックエンジニアとして活躍するためには膨大な学習時間を確保しなければなりません。

技術スキルが幅広い点は、フルスタックエンジニアのデメリットといえます。

会社員だと仕事が集中しやすい

企業で会社員として働くフルスタックエンジニアの場合、仕事が集中しやすいです。

なぜならば、フルスタックエンジニアは、様々なスキルを有しておりどのような事象にも対応できるため「何でも屋さん」や「駆け込み寺」になりやすいからです。自ずと社内の困りごとがフルスタックエンジニアに集中しがちです。

フリーランスとして独立していれば業務量をコントロール可能ですが、会社員の場合はそうは行きません。結果、膨大な業務に対応しなければならず疲弊してしまいがちな点には注意が必要です。

ITエンジニアのキャリアプラン例④:コンサルタントへキャリアアップ

コンサルタントは、クライアントが抱える顕在化した課題はもちろん、クライアント自身が気付いていない潜在的な課題を、ヒアリングを通じて把握・特定し、解決策を提案します。

コンサルタントとして活躍するためには、クライアントの業界や業務に関する深い知識が必要です。企業の経営戦略やビジョンなどの理解も求められます。

コンサルタントに向いている人の特徴は次のとおりです。

  • 正解がない問題に取り組むことが好きな人
  • 誰かの役に立ちたい人

企業は様々な問題を抱えていますが、1つとして同じものはありません。一見同様の課題でも、その会社の文化やそこで働く人々が異なれば、最適な解決策も変わる可能性があります。

そのため、正解がない問題に対して「何が最善か」を考えることが好きな人はコンサルタントが向いているといえます。さらに、課題を解決することで新たな一歩を後押しするのが好きな人もコンサルタントがおすすめです。

ITエンジニアからコンサルタントへキャリアアップするメリット

  • 業界全体として年収の相場が高い
  • 汎用的なビジネススキルが身につき仕事に困らない
  • ITコンサルタントならエンジニア時代の経験も活かせる

以下、順に解説します。

業界全体として年収の相場が高い

コンサルタント業界は、他と比較しても平均年収が高いです。

国税庁が発表した令和4年分 民間給与実態統計調査によれば、 令和4年における「1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与」は461万円とのことです。一方で厚生労働省の職業情報提供サイト jobtagによれば、経営コンサルタントの年収は947.6万円、ITコンサルタントの年収は684.9万円です。

コンサルタントになれば高収入を実現できます。

汎用的なビジネススキルが身につき仕事に困らない

コンサルタントになれば、汎用的なビジネススキルが身に付くため、キャリアの選択肢が多くなります。

ITエンジニアが担当する業務範囲では、要件定義や基本設計を「上流工程」と呼びます。一方でコンサルタントは、さらに上流にあたる「超上流工程」が主な業務領域です。

超上流工程では、顧客の経営課題を分析した上で改善策を提示します。このようなスキルは汎用性が高く普遍的なスキルといえます。

企業には必ず課題が存在するため、時代や業界にとらわれることなく働けるようになる点はITエンジニアがコンサルタントにキャリアアップするメリットです。

ITコンサルタントならエンジニア時代の経験も活かせる

ITコンサルタントであれば、エンジニア時代に培った経験を活かせます。

コンサルタントの仕事は企業のあらゆる問題を解決することです。その解決策の1つとして、業務のシステム化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が挙げられます。

一言でコンサルタントといっても経営コンサルタントや人事コンサルタントなど、分野によって細分化できます。その中でもITコンサルタントは「ITを駆使して企業の経営課題を解決に導くこと」が最大のミッションです。

ITコンサルタントになればエンジニア時代に培った経験や習得したスキルを最大限活用できます。

ITエンジニアからコンサルタントへキャリアアップするデメリット

  • プログラミングやシステム開発の実作業からは完全に離れる
  • ITエンジニア時代よりも高い付加価値を求められる

以下、順に解説します。

プログラミングやシステム開発の実作業からは完全に離れる

コンサルタントへキャリアアップすると、プログラミングやシステム開発などの実作業を担当することはほぼありません。

コンサルタントとITエンジニアの業務は全く異なります。ITエンジニアはクライアントが要求するシステム、あるいはユーザーに必要なシステムを開発することです。一方でコンサルタントは、クライアントの課題を解決することにあります。

そのため、コンサルタントにキャリアアップすると、業務でプログラミングに触れる機会は無くなります。

この点はプログラミングやシステム開発が好きな人にとってはデメリットとなります。

ITエンジニア時代よりも高い付加価値を求められる

コンサルタントになると、ITエンジニア時代よりも高い付加価値を求められます。

ITエンジニアは、クライアントと合意したシステムを開発するのが仕事です。もちろん、付加価値が求められる面もありますが、基本的にはクライアントの要求を元に作成された設計書にそって開発を進めます。そこで求められるのはQCD(品質・コスト・納期)です。一方でコンサルタントは「利益増加」や「コスト削減」などの経営課題の解決が主なミッションです。

コンサルタントは正解がない仕事だからこそ高い付加価値が求められるため、人によってはITエンジニア時代よりも責任やプレッシャーを感じる可能性があります。

ITエンジニアのキャリアプラン例⑤:DX系職種・企画職へキャリアアップ

DX系職種・企画職も、ITエンジニアが選べるキャリアプランの1つです。

経済産業省はDXを次のように定義しています。

経済産業省によるDXの定義

デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。

出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード 実践の手引き」

DXに取り組まない企業は、やがて競争力を失い競合他社に淘汰されるリスクが高まります。そのため、現在では業界・業種を問わず様々な企業がDXを推進中です。

DX系職種・企画職は、DXを推進するために、企業のDX戦略を策定したり、システム化の企画を担当します。また、企業内でDX推進の旗振り役として、ビジネスを創造していくのも業務の一部です。

DX系職種・企画職に向いている人の特徴は次のとおりです。

  • 新しいことにチャレンジしたい人
  • アイデア力に自信がある人

DXはITを駆使して「新たな価値を創出」することを指すため、DX系職種・企画職は新たなことにチャレンジする姿勢が重要です。これまでの常識にとらわれない自由な発想力も必要となります。

ITエンジニアからDX系職種・企画職へキャリアアップするメリット

  • ITをビジネスにどう活用するかという上流工程スキルが身につく
  • 自由度が高い

以下、順に解説します。

ITをビジネスにどう活用するかという上流工程スキルが身につく

DX系職種・企画職では、ITをビジネスにどう活用するかという上流工程スキルが身に付きます。

長くITエンジニアとして働いていると視点が固定化されてしまい、システムありきの考え方や、開発側の事情などにより物事を判断しがちです。その結果、上流工程を担当するときも、クライアントの要望ではなく開発側の都合を優先させてしまうケースも少なくありません。

しかし、DX系職種・企画職は、ITをビジネスに活用することが求められます。これにより視座が高まったり、異なる視点でシステムを企画できるようになります。

クライアントが本当に必要としているシステムやビジネスとの関係に対する正しい認識を軸としたハイレベルな上流工程スキルを習得できます。

自由度が高い

DX系職種・企画職は、自由度が高く、何を行うかは自身(チーム)の裁量に任せられます。

DXを推進するためには、これまでの既成概念にとらわれない発想や独自性が強いアイデアが重要です。実際にどのようなことに取り組むかも決められていないため、自由にチャレンジできます。

ITエンジニアからDX系職種・企画職へキャリアアップするデメリット

  • 何をすべきかも含めて自ら立案する必要がある
  • 売上や収益の責任を負うケースがある

以下、順に解説します。

何をすべきかも含めて自ら立案する必要がある

DX系職種・企画職は自由度が高い一方で、何をすべきかも含めて自ら立案する必要があります。

自由だからといって結果が求められないわけではありません。むしろ、DX系職種・企画職は結果が最重要視されているからこそ、自由に取り組むことを許容されているのです。

何をすべきか、あるいは予算や人材といった観点を前提にした上で何ができるのかを、自ら考える必要があります。

決断が苦手な人やアイデア力に自信がない人にとって、DX系職種・企画職へのキャリアアップはデメリットとなる可能性があります。

売上や収益の責任を負うケースがある

DX系職種・企画職は結果が求められる職種です。その「結果」とは、売上アップや収益増大であるケースも少なくありません。

DXは、企業が今後も安定的かつ持続的な経営をできるかの重要な鍵です。そのため、定められた期間で売上や収益の向上を実現できなければ、責任を求められるケースもある点には注意が必要です。

ITエンジニアのキャリアプランを面接で聞かれた場合の模範解答

ITエンジニアの中途採用では、高い確率で「今後のキャリアプラン」を質問されます。

面接官がこの質問で確認したいのは、次の2つです。

  • 自身のキャリアプランを具体的に考えているか
  • キャリアプランの実現に向けて努力をしているか

実際のところ、自身が希望するキャリアプランを実現できるエンジニアは一握りです。特に企業で正社員エンジニアとして働く以上、「自分がやりたい仕事」ばかりではなく「会社が求める仕事」に対応することになります。

しかし、そのような中でもキャリアプランという中長期的な目標を設定した上で、そのキャリアプラン実現に向けてどのようなアクションを行っているかが重要です。

例えば、以下条件に該当するエンジニアの模範解答は次のとおりです。

前提条件・入社3年目のエンジニア
・メンバーとして一通りの開発を経験
・現在はWeb開発を担当
・将来はプロジェクトマネージャーになりたい
模範解答私は5年後にプロジェクトマネージャーを目指しています。なぜならばチームのメンバーをまとめて、物事を進めることに面白味を感じているからです。

一方でプロジェクトマネージャーになるために、マネジメントスキルが不足していると考えています。そのため、2年後にはチームリーダーを担当し、業務を経験する中でマネジメントスキルを習得したいです。

なお、現在はこのキャリアプランを実現するために、プライベートな時間を活用してプロジェクトマネージャ試験取得に向けた学習に取り組んでいます。

このように「自身が考えるキャリアプラン」を軸として、そのキャリアプラン実現に向けたアクションなどを絡めることで、説得力があるキャリアプランの解答となります。

まとめ

以上、ITエンジニアのキャリアプラン・キャリアパスについて解説しました。改めてまとめると以下の通りです。

ITエンジニアのキャリアパスプログラマー・テストエンジニア

システムエンジニア

以下のいずれかの道に進む。

・マネジメント系
・スペシャリスト系
・フルスタック
・コンサルタント
・DX企画

ITエンジニアのキャリアプラン①:マネジメント系職種へキャリアッププロジェクト全体を適切にマネジメント(管理)し、完遂に導く役割を担う。
ITエンジニアのキャリアプラン②:スペシャリストとしてキャリアアップ特定の分野において突出した技術力を持ち、特定の分野でレベルの高い解決策を考案し実装する。
ITエンジニアのキャリアプラン③:フルスタックエンジニアとしてキャリアアップシステム開発における要件定義や基本設計などの上流工程から、プログラミングやテストなどの下流工程まで全てに対応する。
ITエンジニアのキャリアプラン④:コンサルタントへキャリアアップクライアントが抱える顕在化した課題はもちろん、クライアント自身が気付いていない潜在的な課題を、ヒアリングを通じて把握・特定し、解決策を提案する。
ITエンジニアのキャリアプラン⑤:DX系職種・企画職へキャリアアップITを自社のビジネスにどう活用するかを考案し戦略をたて実行を推進する。
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