IT企業のカスタマーサポートってどうなのだろう…IT業界は成長業界だから待遇も良さそうだけど… いわゆるコールセンターとは違うのかな?IT企業だとやっぱりプログラミングとかできないとダメなのかな?
IT企業のカスタマーサポートといっても、プログラミング知識が必要な訳ではありません。
自社の製品・サービスに関するお客様からの問い合わせに対応する窓口であり、自社製品のプログラムにまで踏み込んで回答することはないからです。
この記事では、実際にIT企業のカスタマーサポートとして勤務経験のある筆者が、実体験を元にIT企業のカスタマーサポートの役割から仕事内容まで具体的に解説しています。
この記事を読めば、IT企業のカスタマーサポートの業務について「明日から仕事できる」レベルまで理解度を高め、カスタマーサポートへの転職成功率が上がります。
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IT企業のカスタマーサポートとは【どんな職種?役割?】
IT企業のカスタマーサポートとは、製品・サービスに関する顧客からの問い合わせに対して適切に回答する窓口です。
既存顧客の満足度の向上を目的に電話、チャット、メールなどによる問い合わせに回答します。
顧客の懸念を理解し、且つ適格に回答することが理想です。
基本的な自社製品の仕様や知識は必要ですが、プログラミング技術は不要です。
IT企業のカスタマーサポートの仕事内容・業務内容
- 社内マニュアルの把握
- 顧客の懸念を理解する
- 無駄のない調査をする
- 適切な回答をする
- 問い合わせ対応履歴の記録
- 製品の機能が追加された際の仕様のキャッチアップ
以下、順に解説します。
社内マニュアルの把握
カスタマーサポートは既存顧客の満足度の向上を目的としているため、顧客からの問い合わせに対する手順やコミュニケーションに関してはマニュアルが細かく定められています。
たとえば本人確認です。多くのサービスでは、問い合わせに対してのサポートは本人確認が完了した顧客にのみ可能です。
これは双方の情報漏洩を防ぐための重要な手順ですが、一刻も早く問題を解決したい顧客にとっては面倒な手続きになる場合もあります。顧客のフラストレーションをためないことは大切なことですが、顧客側が本人確認を拒んだとしても、マニュアルに沿った対応は必須です。
IT企業によっては、そもそも一部の顧客しか問い合わせできない仕組みとし「顧客が問い合わせした時点で本人確認が完了している」ケースもあります。
問い合わせをもとに顧客の懸念を理解する
顧客からの問い合わせに対して無駄のない調査をするために、問い合わせ内容を正確に把握する必要があります。
まずは可能な限り顧客から最初に提供された情報を基に懸念点を汲み取る力が求められます。なぜならば、顧客に対して安易に追加の情報を求めれば、顧客側の対応の手間を増やすことになるからです。
提供された情報だけでは問い合わせに対する解決策を提示できない調査を進められないと判断した場合にのみ、顧客に対して質問して追加の情報を取得します。
そのため、まず問い合わせ内容を素早く且つ正確に把握する必要があります。問い合わせの内容から調査の方向性や回答を推測するので、正確に把握できれば顧客に回答する解決策案のズレを防ぐことにもつながります。
無駄のない調査をする
顧客からの問い合わせに対して回答する際は、回答の証拠となる資料や情報が必要です。公開資料、社内資料、過去の事象などから解決策の根拠となる情報を探します。
問い合わせ内容の事象が問い合わせ元の顧客だけで起きているのか、他の顧客の環境でも発生しているのか、テスト環境で再現できるのかなども確認します。
自分1人で調査しても解決できない場合は、カスタマーサポートチーム内の他のメンバーやマネージャーに確認します。
適切な回答をする
回答はできる限り結論から簡潔に伝えます。
新入社員とベテランの社員とでは知識量が異なるように、「分かりやすい回答」と感じるか否かは、回答先の顧客の知識量によって違います。そのため、問い合わせ内容を基に自社製品に対してどれだけの知識を持っているかを推測して、顧客の知識量に合わせて回答することが重要です。
簡潔に回答しつつも、顧客の懸念が全てクリアになるコミュニケーションを目指します。
問い合わせ対応履歴の記録
顧客からの問い合わせは、問い合わせ毎に番号が発行され、カスタマーサポートによる回答も含めて社内で履歴として記録・保管されます。
従って、問い合わせ内容や調査記録、証拠となる資料はきちんと記載しておく必要があります。
製品の機能が追加された際の仕様のキャッチアップ
IT業界では製品の機能が頻繁に追加されるため、カスタマーサポートも自身の知識を更新していく必要があります。
顧客も製品のアップデートには敏感なので、製品の機能が追加されたり仕様が変更されたりした際には顧客からの問い合わせが増える傾向にあります。
IT企業のカスタマーサポートの顧客対応の仕方
- メール対応
- チャット対応
- 電話対応
以下、順に解説します。
メール対応
メール対応は、顧客からの問い合わせに対してメールで回答する手法です。
調査が完了したら、顧客の懸念を解決できるメールの回答文面を作成します。例えばPREP法を用いると簡潔な文面を作成できます。
以下の順に文章を作成することで、簡潔かつわかりやすく説明する方法です。
順番 | 述べる内容 | 例文 |
---|---|---|
1 | 結論(Point) | ご質問に対する回答は、~です。 |
2 | 理由(Reason) | なぜならば、~だからです。 |
3 | 具体例(Example) | 例えば、~をすると、~となります。 |
4 | 結論(Point) | 以上をふまえ、~です。 |
尚、カスタマーサポートからの回答メールで顧客の懸念点を解決できなかった場合、顧客は追加の質問メールを作成することになり、顧客側の手間を増やしてしまいます。
従って、顧客から質問形式の返信がないように、懸念点を全てクリアできる文章構成が求められます。
チャット対応
チャット対応は、顧客からチャット上で問い合わせを受けて、チャット内で回答する方法です。
また、回答に対して顧客の理解度を即時に確認しやすいです。一方で、限られた時間の中で顧客の懸念を速やかに把握して調査をし、顧客に合わせた回答を作成しなければなりません。
即座の回答が求められるものの誤字や誤回答はもちろん厳禁なので、正確かつ迅速な対応が必要です。
電話対応
顧客から電話で問い合わせを受けて、そのまま電話で回答する方法です。
一方で、できるだけ顧客を待たせずに回答するスピード感が求められます。顧客から質問を受ける度に「少々お待ちください」と保留状態にすれば顧客満足度は下がってしまいます。
IT企業のカスタマーサポートとコールセンターとの違い
一般的なコールセンターとIT企業のカスタマーサポートはやや異なる点があります。
問い合わせ方法
カスタマーサポートは主に電話、メール、チャットのいずれか又は複数の手段を用いますがコールセンターは電話対応のみです。
目的・問い合わせ主
カスタマーサポートは基本的に既存顧客の懸念をサポートすることで満足度や信頼度を高めることを目的としています。一方でコールセンターは既存顧客以外からも問い合わせがあり、サービスの紹介や申し込み方法、クレーム対応まで幅広い業務を担うことが多いです。加えて、自ら見込み客に電話をかけるアウトバウンド業務を採用している企業もあります。
IT企業のカスタマーサポートのKPI
カスタマーサポートでKPIとされるのは以下です。
- 対応件数
- アンケート評価
- 回答の質
対応件数が多くても、顧客からのアンケート評価が低かったり回答の質が悪ければ良い評価にはつながりません。
回答の質も、単にPREP法を用いるだけでなく、細かな社内マニュアルに準拠したうえでコミュニケーションを取る必要があります。それらの数値の統計が個々の成績となり、会社やチーム間で目標としている値を超えることを目指します。
IT企業のカスタマーサポートの年収
IT企業のカスタマーサポートの平均年収は、各調査によると400~500万が相場です。
上記はあくまでも全体の平均であり、カスタマーサポートのスキルレベル・役職に応じて異なります。
役職に応じた分布は以下の通りです。
役職 | 年収 | 具体的役割 |
---|---|---|
メンバークラス | 300~400万 | ・一担当者として顧客からの問い合わせに対応する ・自力では解決できない問い合わせは、リーダーに指示を仰ぎながら解決する |
リーダークラス | 400~500万 | ・自分以外のメンバーの問い合わせ対応を支援する ・開発部・営業部等、必要に応じて他部署と連携して問い合わせ対応する ・日常の問い合わせ対応だけでなく、業務効率化や顧客満足度向上のための施策を考案し推進する |
マネージャークラス | 500~800万以上 | ・カスタマーサポート部門として目指すべき姿や具体的目標数値を設定する ・組織としての目標を達成するために最適な人材配置を設計する ・メンバー/リーダーを育成する |
役職 | 年収 | 具体的役割 |
---|---|---|
メンバー クラス | 300~400万 | ・一担当者として顧客からの問い合わせに対応する ・自力では解決できない問い合わせは、リーダーに指示を仰ぎながら解決する |
リーダー クラス | 400~500万 | ・自分以外のメンバーの問い合わせ対応を支援する ・開発部・営業部等、必要に応じて他部署と連携して問い合わせ対応する ・日常の問い合わせ対応だけでなく、業務効率化や顧客満足度向上のための施策を考案し推進する |
マネージャー クラス | 500~800万以上 | ・カスタマーサポート部門として目指すべき姿や具体的目標数値を設定する ・組織としての目標を達成するために最適な人材配置を設計する ・メンバー/リーダーを育成する |
IT企業のカスタマーサポートは、IT業界以外のカスタマーサポートよりもやや年収が高くなります。なぜならば、近年のIT企業の主力ビジネスは「継続利用型」にシフトしており、顧客満足度が売上に密接に関わるからです。
全業界の平均よりも高い年収を提示することで優秀なカスタマーサポートを確保する動きが進んでいます。
カスタマーサポートへの適性
一方で、人と関わりたくない人はカスタマーサポートは絶対に辞めた方が良いです。
以下の記事では、カスタマーサポートはやめておくべき人の特徴の詳細を解説しているので参考にしてください。
カスタマーサポートに必要な資格
カスタマーサポートに特化した資格はありません。
特定の資格の有無よりも、相手の質問に対して適切に答えられる能力が必須とされています。
その上で、IT企業の場合は以下の資格があるとカスタマーサポートとしてよりレベルが高いと評価されます。
資格名 | 詳細 | カスタマーサポートに役立つ理由 |
---|---|---|
ITパスポート | ITに関する基礎知識を保有していることを証明する資格。ITエンジニアを問わず全てのビジネスパーソンを対象としている。 | IT企業のカスタマーサポートとして知っておくべきITの基礎知識を把握していることを証明できるから。 |
テクニカルライティング検定 | 事実を相手に誤解なく・正確に・わかりやすく伝える文章作成能力「テクニカルライティング」スキルを保有していることを証明する資格。 | IT企業のサービスの利用方法を、誤解なく正確にわかりやすくお客様に伝えて顧客満足度を向上させるスキルがあることを証明できるから |
資格名 | 詳細 | カスタマーサポートに役立つ理由 |
---|---|---|
ITパスポート | ITに関する基礎知識を保有していることを証明する資格。ITエンジニアを問わず全てのビジネスパーソンを対象としている。 | IT企業のカスタマーサポートとして知っておくべきITの基礎知識を把握していることを証明できるから。 |
テクニカルライティング検定 | 事実を相手に誤解なく・正確に・わかりやすく伝える文章作成能力「テクニカルライティング」スキルを保有していることを証明する資格。 | IT企業のサービスの利用方法を、誤解なく正確にわかりやすくお客様に伝えて顧客満足度を向上させるスキルがあることを証明できるから |
どちらも一度学んでおくとカスタマーサポートとして実務に役立つ知識・スキルを身につけられるのでおすすめです。
カスタマーサポートの将来性
IT業界のカスタマーサポートの将来性は明るいです。なぜならば、以下を理由に今後も業界全体でのカスタマーサポート人材に対するニーズが高まっていくからです。
- IT業界全体が成長しているから
- 社会を便利にするITサービスは増え続けるから
…でも、カスタマーサポートのような定型業務はAIによって置き換わっていくのでは…?
誰がやっても同じような単調な定型業務はAIによって置き換わる可能性はあります。ただし、AIによる回答は完璧ではありません。AIの回答が適切か否かを誰かがチェックし管理しなければならないのです。
サービスを提供する側が「AIによる回答だから間違えることもあります」と言い訳していたら、そんなサービスは顧客から見放されてしまいます。
従って、カスタマーサポートはAIによって仕事を奪われるのではなく、むしろAIを管理・活用して自身の生産性を上げる側に回ることになります。
例えば、今まで自分一人では1日に対応する問い合わせが10件だった一方で、AIを活用して1日30件以上対応できるようになるのも決して不可能ではありません。
カスタマーサポートのキャリアプラン
カスタマーサポートのキャリアプランは大きく3つに分かれます。
キャリアプラン | おすすめな人 |
---|---|
リーダー、マネージャーへとキャリアップ | もっと仕事の成果を上げたい人 |
メンバーとしてワークライフバランスを重視 | できるだけ残業をせず定時で帰りたい人 |
カスタマーサクセス等他の職種へジョブ時チェンジ | カスタマーサポート以外の経験を積みたい人 |
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カスタマーサポートへの転職に最適な転職エージェントの詳細を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
以上、IT企業のカスタマーサポートについて解説しました。改めてまとめると以下です。
IT企業のカスタマーサポートとは | 製品・サービスに関する顧客からの問い合わせに対して適切に回答する窓口。 顧客の懸念を理解し、且つ適格に回答する。 |
IT企業のカスタマーサポートの仕事内容 | ・社内マニュアルの把握 ・顧客の懸念を理解する ・無駄のない調査をする ・適切な回答をする ・問い合わせ対応履歴の記録 ・製品の機能が追加された際の仕様のキャッチアップ |
IT企業のカスタマーサポートの顧客対応の仕方 | ・メール対応 ・チャット対応 ・電話対応 |
IT企業のカスタマーサポートとコールセンターとの違い | ・問い合わせ方法 ・目的・問い合わせ主 |
IT企業のカスタマーサポートのKPI | ・対応件数 ・アンケート評価 ・回答の質 |
IT企業のカスタマーサポートの年収 | ・メンバークラス:300~400万 ・リーダークラス:400~500万 ・マネージャークラス500~800万以上 |
カスタマーサポートへの適性 | 他人を助けることにやりがいを感じる人は向いている。 人と関わりたくない人は向いていない。 |
カスタマーサポートに必要な資格 | 特定の資格の有無よりも、相手の質問に対して適切に答えられる能力が必須、 |
カスタマーサポートの将来性 | 業界全体でのカスタマーサポート人材に対するニーズが高まっていくため将来性は高い。 |
カスタマーサポートのキャリアプラン | ・リーダー、マネージャーへとキャリアップ ・メンバーとしてワークライフバランスを重視 ・カスタマーサクセス等他の職種へジョブ時チェンジ |
IT企業のカスタマーサポートとは | 製品・サービスに関する顧客からの問い合わせに対して適切に回答する窓口。 顧客の懸念を理解し、且つ適格に回答する。 |
IT企業のカスタマーサポートの仕事内容 | ・社内マニュアルの把握 ・顧客の懸念を理解する ・無駄のない調査をする ・適切な回答をする ・問い合わせ対応履歴の記録 ・製品の機能が追加された際の仕様のキャッチアップ |
IT企業のカスタマーサポートの顧客対応の仕方 | ・メール対応 ・チャット対応 ・電話対応 |
IT企業のカスタマーサポートとコールセンターとの違い | ・問い合わせ方法 ・目的・問い合わせ主 |
IT企業のカスタマーサポートのKPI | ・対応件数 ・アンケート評価 ・回答の質 |
IT企業のカスタマーサポートの年収 | ・メンバークラス:300~400万 ・リーダークラス:400~500万 ・マネージャークラス500~800万以上 |
カスタマーサポートへの適性 | 他人を助けることにやりがいを感じる人は向いている。 人と関わりたくない人は向いていない。 |
カスタマーサポートに必要な資格 | 特定の資格の有無よりも、相手の質問に対して適切に答えられる能力が必須、 |
カスタマーサポートの将来性 | 業界全体でのカスタマーサポート人材に対するニーズが高まっていくため将来性は高い。 |
カスタマーサポートのキャリアプラン | ・リーダー、マネージャーへとキャリアップ ・メンバーとしてワークライフバランスを重視 ・カスタマーサクセス等他の職種へジョブ時チェンジ |
以上、カスタマーサポートへの転職に興味がある人は参考にしてください。