SIerって落ち目の業界と聞くけど、実際はどうなのだろうか…大企業が多いし、ホワイトな企業もあるのではと思うのだけど…
ネットの世界ではSIerは「オワコン」などと叩かれがちです。しかし、実際にSIerで働いていた経験をふまえると、ホワイトなSIer企業は天国と言えます。
- 成長するIT業界に属するので将来仕事に困らないから
- イケイケなIT企業と比べると個人の成果を問われないので、体力が衰える30代以降でも安定して高い給料がもらえるから
実際、SIer業界は叩かれ続けているのに全く衰えず、むしろ成長を続けています。
この記事では、客観的なデータをもとに調査した上で、ホワイトなSIer企業を紹介しています。
この記事を読めば、ホワイトなSIer企業を理解し、あなたの就職・転職活動においてホワイトな労働環境の獲得を目指せます。
平均年収別 ホワイトSIerランキング
年収が高いということは、会社が社員の待遇を改善して社員の「働きがい」を向上させる姿勢を示しています。この姿勢は「ホワイト企業」と呼ばれる、職場環境が良好な企業の特徴の1つです。
その結果、社員の満足度やモチベーションの維持につながるとともに、企業の成長に貢献する意欲を高めています。
勤続年数別 ホワイトSIerランキング
勤続年数の長さは、安定した経営を継続できている証拠です。加えて、極端に激務ではないことや、教育研修制度などの福利厚生の充実も関係します。
勤続年数の長い社員が多ければ、知識やノウハウが先輩から後輩へ共有されるため、仕事が円滑に進むこともメリットです。
有給休暇取得率別 ホワイトSIerランキング
IT業界では、プロジェクトの佳境やシステムリリース後のトラブル対応の時期などが繁忙期に当たります。
繁忙期が重なると、会社から付与された有給休暇を消化しきれないケースがあります。
有給休暇の取得は、社員の疲労回復やリフレッシュ効果があり、生産性の向上やメンタルヘルス不調の予防にも寄与します。
残業時間の少ないホワイトSIerランキング
残業時間が少ないということは、社員の業務負荷を考慮した適切な量の仕事の割り振りができている証拠です。仕事の量や質を加味して分担が調整されている労働環境は、ホワイト企業の特徴の1つです。
過度な残業の慢性化は社員のストレスを増加させ、生産性の低下やモチベーションの減退など様々な問題を惹き起こし、離職者の増加につながる可能性もあります。
営業利益額別ホワイトSIerランキング
営業利益の高さは、社員への適切な還元や職場環境の改善につながる投資への余力を表しており、ホワイト企業を示す1つの指標です。
営業利益が高い企業は、給与や賞与といった報酬のほか、各種手当の充実や健康管理・医療に関する福利厚生に投資できる体力があります。福利厚生の充実は社員のモチベーションアップにもつながります。
また、社員の健康管理を支援する取り組みは生産性向上にも効果があり、企業の長期的な業績の向上に寄与します。
内部留保別ホワイトSIerランキング
内部留保の多さは、企業が短期的な業績悪化に見舞われた際にも、それに耐えうる財務基盤があることを示しています。
企業が蓄えてきた利益額の総計です。「現金として引き出して使える会社にとっての貯金」と言えます。
内部留保の多い企業は、不況時でも社員の待遇を維持しやすく安定的な経営が可能であり、「ホワイト企業」の資質を備えています。
一般的には市況が悪化した場合、待遇を維持することは困難です。しかしながら内部留保が潤沢な企業であれば、社員の待遇を維持し、社員とその家族の生活を守れます。
結果、企業に対する社員の愛着や忠誠心にもつながります。
ホワイトSIerが存在する理由
- 確実に売上が入ってくるビジネスモデルだから
- 一次請けで利益を残せるから
- 待遇を良くしないと社員が転職してしまうから
以下、順に解説します。
確実に売上が入ってくるビジネスモデルだから
SIerのビジネスモデルは、商品の生産や調達より契約(受注)が先行し、その契約内容に基づいてシステムを開発します。
SIerのビジネスモデルでは、リスクを最小化しながら安定的に収益を残せます。また、社員の働きぶりに応じて収益が見込めるため、業績と社員の報酬を連動させやすくなります。
一次請けで利益を残せるから
IT業界は多重下請け構造が発生しやすい業界です。クライアント企業から商流が遠くなるほど中間マージンを搾取され、自社の利益は少なくなります。
IT業界で一次請けのポジションにいる企業は、クライアントと直接取引を行うため、中間マージンが発生しません。
さらに、一次請けの企業に属する社員は、プロジェクトの上流工程を担当することが多く、高度な技術力が求められます。こうした高度な技術力は、企業に利益をもたらす源泉です。
以上をふまえ、IT業界で一次請けのポジションに位置することの多いSIer企業は利益を確保しやすく、ホワイトな待遇・労働環境を提供できます。
待遇を良くしないと社員が転職してしまうから
近年、IT業界ではGAFAMなどに代表される外資系テック企業やメガベンチャーなど、好待遇の企業が増えています。SIer自身も、待遇面に加えて働き方や職場環境を改善しなければ優秀な人材の流出を防止できなくなっています。
具体的には、以下のような施策に取り組むSIerが増えています。
- 初任給や基本給のアップ
- 勤務時間や場所を含めた柔軟な働き方への移行
- 社員のスキルアップをサポートする教育研修制度の充実
- 自律的なキャリア形成を支援する制度の導入
SIer業界でもこうした人材への投資の取り組みによる離職防止施策を強化しており、結果としてホワイトな働き方ができるSIer企業が増えています。
使える時間と体力が減る30代以降にとってホワイトSIerは天国
30代以降は、結婚や出産といったライフイベントの発生機会が増えます。仕事に費やせる時間は徐々に減少すると共に、20代のように長時間働ける体力も衰えるため、良好な労働環境の重要性が増します。
ホワイトSIerなら、体力と時間のある若手と技術力という土俵で競わないで良い
SIerの役割は、顧客が求める要件を満たす品質の高いシステムを、納期までに確実に開発して納入することです。
そのため、SIerの社員には、組織として確実に成果を残せる能力がもっとも重要視されます。
最先端テクノロジーの開発といった技術力が求められることは少なく、若手のアドバンテージである体力や時間を費やして競い続ける必要はありません。
従って、組織の中で着実に成果を上げる能力がある人は、一定の報酬を確保しつつ安定した生活を送ることができます。
まとめ
以上、ホワイトSIer企業のランキングとホワイトSIer企業が存在する理由について解説しました。
改めてまとめると以下の通りです。
平均年収別 ホワイトSIerランキング | 1位 野村総合研究所 1242万円 2位 電通総研 1128万円 3位 伊藤忠テクノソリューションズ 1029万円 4位 オービック 1006万円 5位 富士通 879万円 |
勤続年数別 ホワイトSIerランキング | 1位 BIPROGY 46.3年 2位 さくらケーシーエス 44.6年 3位 SCSK 43.8年 4位 富士通 43.7年 5位 日本電気 43.5年 |
有給休暇取得率別 ホワイトSIerランキング | 1位 SCSK 91.8% 2位 BIPROGY 85.2% 3位 NTTデータ 85.2% 4位 ビジネスエンジニアリング 76.5% 5位 日鉄ソリューションズ 75.0% |
残業時間の少ないホワイトSIerランキング | 1位 野村総合研究所 7.3時間 2位 ビジネスエンジニアリング 8.7時間 3位 ネットワンシステムズ 10.0時間 4位 日鉄ソリューションズ 10.9時間 5位 伊藤忠テクノソリューションズ 13.0時間 |
営業利益額別ホワイトSIerランキング | 1位 富士通 1,037億円 2位 NTTデータ 984億円 3位 野村総合研究所 889億円 4位 オービック 607億円 5位 大塚商会 482億円 |
内部留保別ホワイトSIerランキング | 1位 富士通 8,613億円 2位 NTTデータ 6,369億円 3位 日本電気 4,672億円 4位 野村総合研究所 3,153億円 5位 大塚商会 2,565億円 |
ホワイトSIerが存在する理由 | 確実に売上が入ってくるビジネスモデルだから一次請けで利益を残せるから待遇を良くしないと社員が転職してしまうから |
平均年収別 ホワイトSIerランキング | 1位 野村総合研究所 1242万円 2位 電通総研 1128万円 3位 伊藤忠テクノソリューションズ 1029万円 4位 オービック 1006万円 5位 富士通 879万円 |
勤続年数別 ホワイトSIerランキング | 1位 BIPROGY 46.3年 2位 さくらケーシーエス 44.6年 3位 SCSK 43.8年 4位 富士通 43.7年 5位 日本電気 43.5年 |
有給休暇取得率別 ホワイトSIerランキング | 1位 SCSK 91.8% 2位 BIPROGY 85.2% 3位 NTTデータ 85.2% 4位 ビジネスエンジニアリング 76.5% 5位 日鉄ソリューションズ 75.0% |
残業時間の少ないホワイトSIerランキング | 1位 野村総合研究所 7.3時間 2位 ビジネスエンジニアリング 8.7時間 3位 ネットワンシステムズ 10.0時間 4位 日鉄ソリューションズ 10.9時間 5位 伊藤忠テクノソリューションズ 13.0時間 |
営業利益額別ホワイトSIerランキング | 1位 富士通 1,037億円 2位 NTTデータ 984億円 3位 野村総合研究所 889億円 4位 オービック 607億円 5位 大塚商会 482億円 |
内部留保別ホワイトSIerランキング | 1位 富士通 8,613億円 2位 NTTデータ 6,369億円 3位 日本電気 4,672億円 4位 野村総合研究所 3,153億円 5位 大塚商会 2,565億円 |
ホワイトSIerが存在する理由 | 確実に売上が入ってくるビジネスモデルだから一次請けで利益を残せるから待遇を良くしないと社員が転職してしまうから |
SIer企業への就職・転職を検討している人は参考としてください。
ホワイトSIer企業の良さは、仕事に費やせる時間が徐々に減少していく30代以降に特に効いてきます。
ガムシャラに働けば何とかなる20代をどう過ごすか考えるだけではなく、30代以降の人生も考慮するとSIerは魅力的な選択肢です。