IT業界とは?10年経験者が図解で解説【知識ゼロでも完全に理解できる】

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IT業界とは
IT業界未経験者

IT業界ってどんな業界なのかイマイチわからない…
業界未経験者でもわかるように解説してほしい…

IT業界とは具体的に何をしている業界なのかわかりにくいですよね。

この記事では、IT業界で10年以上働いている私が、実体験に基づきIT業界について解説しています。

この記事を読めば、IT業界とはどんな業界なのか具体的に理解できます。

この記事の結論

IT業界とは、「情報技術(Information Technology)」を取り扱う企業群をひとまとめにしたグループを指す。

普段スマートフォンを通じて利用している便利なアプリやサービスを始めとして、人々の生活全体を支えている業界。

この記事を書いた人
IT営業経験者

IT業界勤務 ヒロマン

  • 10年間IT業界に勤務し、IT企業3社にて営業と企画開発を経験。
  • 長時間労働・顧客からのクレーム対応役といった高ストレス業務に耐えながら2回の転職を経験。
  • 現在はIT業界で仕事を楽しみながら毎日9-18時勤務で年収800万の生活中。

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目次

IT業界とは

IT業界とは「情報通信技術(Information Technology)」を取り扱う企業群をひとまとめにしたグループを指します。「情報通信技術」と言われるとピンときませんが、実はあなたが生活している中の様々なシーンで情報通信技術は活用されています。※この記事では、以降「情報通信技術」を「IT」と略称します

ITが活用されているシーン 例
スマホでニュースチェック

ニュースアプリはITによって作られています。IT業界内のどこかのアプリ開発会社が開発したニュースアプリを通じて、あなたは毎朝ニュースを見ているのです。

電車で通勤

電車などの交通機関はITによって制御されています。何時にどの列車がどの駅を通るのかといった配車から、あなたがどの駅の改札を通っていくら電車賃が発生したかまで、全てはITで管理しているのです。

鉄道会社等の交通機関は、IT業界からの技術支援を受けて緻密な交通インフラを築き運用しています。

会社で仕事

現代の企業はITなしでは活動できません。あなたが勤務する会社でも、以下は全てシステムで動かしているはずです。

  • 売上や利益といった会社の業績
  • 販売する商品の在庫
  • 関係者とのやりとり(メール・チャット等)
現金以外での支払い
電子マネー

アプリによるバーコード支払いはもちろん、交通系ICカードやクレジットカードでの支払いも、ITによって成り立っています。

銀行でお金を引き出す・振り込む

電子マネー以外の現金のやりとりも、実はITによって成り立っています。ATMで現金を引き出したり、他者の口座へお金を振り込んだり等は金融機関のサービスを使っているでしょう。日本の金融機関は1960年代からIT業界と協力してITを自社のサービスに取り入れています。

ネットショッピング

スマートフォンやPCからWebサイトやアプリを通じて商品を購入するネットショッピングは、IT無しには実現できません。購入先の店舗はIT業界からの支援を受けて、来店しない顧客に対しても商品を販売できる仕組みを整備しているのです。

ITは水・電気・ガスと同じようなインフラとして人々の生活を支えています。そのITを提供しているのがIT業界です。IT業界に属する企業は、個人向けに直接商品やサービスを提供するケースもあれば、裏方として間接的にITを提供しているケースもあります。

IT業界未経験者

ITってインターネットの略ではなかったのですね!

インターネットはITの1つに過ぎません。インターネットがない時代にもIT業界は存在していました。

インターネットがない時代のIT業界

インターネットがない時代のIT業界とは、企業が業務で使うコンピューターを生産・販売する業界を指します。

IT業界の5分類

IT業界未経験者

IT業界には実際にどんな企業がいて何を提供しているのですか?

IT業界は役割に応じて更に以下の5つに分類され、その中にIT企業が存在します。

  • インターネット業界
  • ハードウェア業界
  • ソフトウェア業界
  • 通信インフラ業界
  • 情報通信サービス業界

分類によって、提供している商品・サービス・役割は異なります。

他の業界で例えると

例えば、一言で「小売業界」といっても、以下の分類によって提供している価値が全く異なるのと同様です。

  • スーパーマーケット業界
  • ドラッグストア業界
  • 百貨店業界
  • コンビニ業界

以下、IT業界の5つの分類と具体的な企業例について解説します。

インターネット業界は皆が使っているアプリを提供する

インターネット業界とは

インターネット業界とは、インターネットを通じて利用できるアプリやWebサイト等を開発し提供している業界を指します。個人向けのサービスを展開していることが多いため、IT業界未経験者でも聞いたことのある企業が多いでしょう。

インターネット業界に属する企業例
  • LINE
  • メルカリ
  • 楽天

その名の通り「インターネットを通じて世の中に価値を提供している業界」であり、属する全ての企業もインターネットが社会に普及し始めた2000年以降に生まれました。「IT企業」というと、「若い社長のもと新しいことに挑戦する企業」といったイメージをもつ人が多いですが、インターネット企業はそのイメージを体現しています。

また、個人向けのITサービスを主力展開している企業が多いため、「どの会社で働いているの?」と問われて相手に会社名を伝えればほとんどの相手には伝わるでしょう。

「誰もが知っている有名な会社で働きたい」と思っている人にはインターネット業界は向いています。

 ハードウェア業界はコンピューター装置を製造・販売する

ハードウェア業界とは、物理的なコンピューター装置を開発し販売しているメーカーと言い換えられます。IT業界では、物理的なコンピューター装置をハードウェアと呼んでいます。身近な例を挙げるなら、みなさんが普段使っているスマートフォンやPCを製造して世の中に提供している業界です。

ハードウェア業界に属する企業例
  • Apple
  • DELL
  • HP
  • 日立

ハードウェア業界の主な顧客は個人よりも企業が圧倒的に多いです。そのため、ハードウェア業界の企業名は一般にはあまり知れ渡っていません。

ハードウェアは全ての
ITサービスに必要不可欠
IT業界未経験者

一般消費者ではなく企業向けのニッチな業界なのですか?

ハードウェア製品は全てのITサービスになくてはならない存在です。決してニッチな業界ではありません。あなたが普段使っているSNSやアプリ、Amazonや楽天といったネットショッピングサービスも含め、全てのITサービスはハードウェアの中で動いています。

全てのITサービスはハードウェアの上で動いている

アプリやWebサイトを提供している企業は、ハードウェア業界の企業から購入したハードウェアの中にアプリやWebサイトを入れて動かしています。あなたは自分のスマートフォンやPCからインターネットを通じて、世界のどこかに設置されているハードウェアにアクセスしてアプリ等を利用しているのです。

また、「装置を製造する」という観点では機械メーカーにも近いビジネスです。メーカーで働いていた人は、ハードウェア業界に転職しても仕事の進め方が似ていると感じることが多々あるでしょう。メーカー経験者はハードウェア業界へ転職しやすいと言い換えられます。

ソフトウェア業界は企業が使うアプリを提供する

ソフトウェア業界とは、企業向けのアプリを製品として開発し提供している業界です。

IT業界未経験者

企業向けのアプリ…?何ですかそれ?

個人が使うパソコンやスマートフォンには、用途に応じて色んなアプリが入っていますよね。

用途用途に応じて使うアプリ
メールを使いたいGmail
動画を見たいYouTube
SNSを使いたいInstagram、Twitter
個人向けアプリの例

実は、企業向けにも、用途に応じて色々なアプリが存在します。企業向けのアプリは、一般的にはソフトウェア(略称はソフト)と言われています。

用途用途に応じて使うアプリ
取引先とメールしたいメールソフト
自社の財務状況を管理したい会計ソフト
社員のスケジュールを管理したいスケジュール管理ソフト
企業向け向けアプリ(ソフトウェア)の例

用途に応じた企業向けのアプリ=ソフトを開発して自社の商品として提供するのがソフトウェア業界です。

ソフトウェア企業の例
  • マイクロソフト
  • トレンドマイクロ
  • SKY

従来のソフトウェア業界のビジネスは「自社の製品を企業に購入してもらう」形式ですが、近年は「自社の製品を企業に継続利用してもらう」ビジネスに移行しています。

IT業界未経験者

購入と利用?どう違うのですか?

例えるなら、個人向けサービスでいう、「買切り方型」と「継続利用型」の違いです。

従来の買い切り型ビジネス継続利用型ビジネス
音楽CD販売月額制の音楽配信サービス
映像作品DVD・ブルーレイ販売Netflixなどの映像配信サービス
本・雑誌書店で販売定額制の電子書籍読み放題
買い切り型から継続利用型への移行

インターネット技術の進化により、企業向けのソフトウェア業界においても、「製品を買って使う」のではなく、「必要な分だけ利用して、毎月利用料を支払う」というビジネスモデルに移行しています。

顧客が利用した分だけ料金を請求するビジネスモデルでは、自社の製品を顧客にいかに長く使ってもらえるかが重要です。顧客の製品利用を支援する「カスタマーサクセス」という職種を置いているのもソフトウェア業界の特徴です。
≫ カスタマーサクセス職の詳細 解説記事はこちら

通信インフラ業界

通信インフラ業界

通信インフラ業界は、電話回線やインターネット回線といった通信インフラを整備し提供している業界です。屋外でスマートフォンを使ったり、家の中でwifiを利用できるのは全て通信インフラ業界のおかげです。

通信インフラ企業の具体例
  • NTT
  • KDDI
  • ソフトバンク
  • 楽天モバイル

通信インフラ業界に属するのは大企業のみです。なぜならば、通信インフラを事業として提供するには、電波を発信する電波塔を国内の各地に建設するといった莫大な設備投資額が必要だからです。実際、楽天モバイルが通信インフラ業界に参入した際の設備投資額は1兆円を超えています。

更に、通信インフラ事業は総務省から認可をもらわなければ運営できません。通信インフラは国民の生活に関わる事業なので、一定レベルの品質のサービスを提供できるか国から監視されます。

「莫大な設備投資」と「国からの認可」はそのまま参入障壁の高さに繋がります。通信インフラ業界は過度な競争に巻き込まれるリスクが少ない、IT業界の中でも安定した業界と言えます。

情報処理サービス業界

情報処理サービス業界

情報処理サービス業界とは、企業が抱える課題に対してITを活用して課題解決に取り組む業界です。「ITに関する企業向けの何でも屋さん」と言い換えられます。

企業が抱える課題の例
  • スマートフォンアプリを作って自社の製品をもっと顧客にアピールしたい
  • 社内の煩雑な業務をシステムで自動化して業務を効率化したい
  • 顧客のデータを収集して分析し、売上アップに活かしたい

IT業界以外の業界に属する企業はITに関する専門知識を保有している訳ではないため、ITによる課題解決を自社だけで考え実行するのは実は非常に難しいです。そこで、ITに関する専門知識を持つ情報処理サービス業界が、各企業の課題解決を支援しています。

情報処理サービス企業の例
  • NTTデータ
  • 野村総合研究所
  • 伊藤忠テクノソリューションズ

情報処理サービス業界の中でも、企業向けにシステムを作る役割を担う業態は「システムインテグレーター」と呼ばれています。以下の記事では、システムインテグレーターの詳細を解説しています。

≫ システムインテグレーター(SIer)のビジネスを未経験者向けに解説

1つの企業が複数の機能を持つことも

以上にあげたIT業界の5つの分類のうち、1つの企業が複数の分類を兼ねるケースも存在します。

企業名所属する分類事業
Appleインターネット業界iTunes、AppleMusicの提供
ハードウェア業界iPhone、Macbookの生産・販売
NTT通信インフラ業界電話回線、ネット回線の提供
インターネット業界Dポイントサービスの提供
富士通ソフトウェア業界企業向けソフトウェアの開発・販売
ハードウェア業界個人向けパソコンの生産・販売
情報処理サービス業界企業向けシステムの開発・運用
1つの企業が複数のIT業界に分類される例

以下の記事では、IT業界の分類について詳細を解説しています。各分類について詳しく知りたい方は参考にしてください。
>IT業界の5+1の分類とは?経験者が徹底解説【就活・転職に役立つ】

IT業界の職種

IT業界の職種は大きく分けると以下の3種類に分かれます。

  • エンジニア系職種
  • ビジネス系職種
  • スタッフ系職種

エンジニア系職種

ITに関する専門知識を持つ、いわゆる技術職を指します。企業によっては以下の呼び方もされます。

IT業界のエンジニア系職種と同じ意味の言葉
  • ITエンジニア
  • システムエンジニア(SE)

エンジニア系職種は、IT業界が提供する製品やサービスに対して以下の役割を担います。

  • 製品・サービスを作る
  • 作った製品・サービスが問題なく動き続けるようメンテナンスする
  • 未来の製品・サービス作りに活かせそうな技術を研究する
IT業界未経験者

プログラマーのことですか?

プログラマーはエンジニア系職種の中の1つに過ぎません。エンジニア系職種は、役割や仕事内容に応じて更に複数の職種に分類されます。エンジニア系職種の中にどんな職種があるのかは、以下の記事で解説しています。

≫エンジニア系職種に属する7つの職種とは?

ビジネス系職種

技術職が作り上げた自社の製品やサービスを、顧客に届けて収益をあげる役割を担うのがビジネス系職種です。主に以下の職種があります。

IT業界のビジネス系職種
  • 商品・サービスを顧客へ提案・販売する営業職
  • 顧客から商品・サービスに関する問い合わせを受け付けるカスタマーサポート職
  • 商品・サービスを世の中に認知させるマーケティング職
  • 顧客が商品・サービスを使いこなせるよう支援するカスタマーサクセス職

ビジネス系職種については以下の記事の中で詳細を解説しています。

≫ ビジネス系職種に分類される5つの職種とは?

スタッフ系職種

IT業界に限らず、民間企業であれば企業活動において必要となる以下の部署で勤務する社員を指します。

  • 経理・財務部
  • 人事部
  • 法務部
  • 広報部
  • 総務部

IT業界の企業にも必ず上記部署はあります。

経理職の仕事内容や目指し方に関しては、「経理屋さん」にてわかりやすく解説されています。

他業界からIT業界へ転職は可能

私はIT業界で10年以上勤務していますが、他業界からIT業界へ転職してきた人は周囲に一定数いました。正しい手順をふめば、IT業界への転職は可能です。職種別にポイントが異なるため、以下にて順に解説します。

エンジニア系職種を目指すなら技術の基礎を学んでおく

エンジニア系職種を目指すなら、プログラミングを学んでおくことをオススメします。なぜならば、企業は未経験者を採用する際、以下のリスクをかなり警戒するからです。

企業が未経験者を採用する
際に気にするリスク
  • エンジニアとしての素質がないかもしれない
  • 採用後の育成に時間がかかり、育成する側の既存のエンジニアが疲弊してしまう

あなたにどんなにやる気があっても、企業側はあなたが本当にエンジニアとして働けるか確信を持てません。しかし、プログラミングを学び既に一定のスキルを持っていること・IT技術に抵抗がないことを示せれば、企業にとってあなたを採用するハードルはぐっと下がります。

高額なスクール受講は必須ではないが、「無料サービスで勉強しただけ」では厳しい

IT業界未経験者

プログラミングスクールに通わないとダメなのですか?

スクールの受講は絶対条件ではありません。「技術を学び一定のスキルを持っていること」さえ示せればいいのです。

だからといって、「本を一冊読みました」「無料のプログラミング学習サービスで学びました」程度では説得力にかけます。「勉強しました」と言うだけなら誰でも言えるため、実際にスキルを持っていることを証明できないからです。

「自分で学んで、こんなアプリを作ってみました」等、自分で作ったものを紹介できるとかなり有効です。もしくは、資格の取得も知識を持っていることを客観的に証明できるのでオススメです。

ビジネス系職種に必要なのは技術知識よりも類似する過去の経験

IT業界のビジネス系職種を目指す場合は、エンジニアほどの事前学習量は必要ありません。もちろん技術に関する知識はあって無駄ではありませんが、業務上必要な知識は内定後に学べば事足りる量だからです。

逆に、技術知識を学んだだけではIT業界のビジネス系職種へ転職するのは難しいです。

ビジネス系職種には、技術知識よりも顧客と関係を構築してビジネスを創り出すためのスキルが求められるからです。

IT企業のビジネス系職種に
求められるスキル 例
  • 顧客の課題をヒアリングする
  • ヒアリングした顧客の課題を分析する
  • 顧客の課題に対して、自社の提案ならどう解決できるのか、どんなメリットがあるのか考え抜く
  • 自分が考えた提案を顧客に伝えて、効果の見込みがあることを納得させる

上記のスキル又はその素質が自分にはあり、ビジネス系職種として活躍できそうと応募先企業に思わせることが不可欠です。自分の今までの経験を棚卸し、応募先の職種に必要なスキルとの共通点を抽出して職務経歴書に盛り込みましょう。

IT業界未経験者には転職エージェントがオススメ

IT業界未経験者

IT業界に必要なスキルと自分の経験の共通点と言われてもわかりません…

IT業界未経験からの転職を目指すなら、自分一人だけで進めるのは難しいです。なぜならば、業界未経験ゆえにIT業界に求められるスキルの詳細を理解するのが難しいからです。

対策として、無料でIT業界の詳細を教えてもらいながら転職活動のアドバイスも受けられる転職エージェントの利用をおすすめします。

以下の記事では、IT業界のビジネス職への転職にオススメの転職エージェントを解説しています。

IT業界の営業職への転職にオススメ
IT業界のカスタマーサクセス職への転職にオススメ

マーケティング職への転職に強い転職エージェントに関しては、別途紹介記事を準備中です。

IT業界のやりがい

自分の仕事によって人々の生活をより便利にしていく点が、私が感じているIT業界のやりがいです。

技術職、営業職、事務職など、職種に応じて関わり方は異なっても、自分が携わる仕事によって世の中を支えていることに違いはありません。自分が関わる仕事が誰かの役に立っているところを見ると、がんばって良かったと誇らしくなります。

筆者の体験談
消費者向けビジネスの場合

実際に製品・サービスを使っている個人の声は、SNSやレビューサイトを通じて確認できます。最初はマイナス評価だらけだったものの、1つずつ改善策を施していくと時間の経過と共に評価の星が増えていきました。ユーザーの顔は直接見えなくても、レビューサイトを通じて「自分の頑張りは誰かから評価されているんだ」と感じる瞬間です。

企業向けビジネスの場合

実際に製品・サービスを使っている顧客企業の担当者から直々に「すごく楽になった!」「売上が上がるようになった!」等感謝の言葉をもらうシーンもあります。
トラブルが発生した際は時には「なんで自分がこんな目にあわなきゃいけないんだ」と不満を感じたこともありましたが、「あなた方のおかげで当社の社員はみな助かっている」とお礼をいただいた時のことは今でも覚えています。

IT業界の平均年収

国内最大手の転職サイトdodaの調査によると、IT業界の平均年収は433万です。

しかし、IT業界の年収は職種や企業規模によっても大きく異なるため業界全体で見る平均年収はあまり参考になりません。経済産業省が調査した、以下の職種別平均年収の方が実態に近いです。

職種平均
年収
職種の解説
ITコンサルタント928万経営戦略に沿ってIT戦略を策定し、システム開発の提案やシステムの最適化を通じて、企業の経営を助ける。
プロジェクトマネージャ891万顧客企業のシステム開発や自社製品の開発といった、「複数の関係者を動かし」「期日までに」「何かを達成する」プロジェクト型の仕事を推進する。
高度ITエンジニア778万企業のシステムや自社製品について、どんな技術を用いたら最高の結果を得られるか、高い技術力をもとに設計できるハイレベルなエンジニア。
インターネットサービスのエンジニア592万「この機能をこんな風に作ってください」という依頼を受けて、インターネットサービスやモバイルアプリの一機能を作りテストをするエンジニア。
SE・プログラマー
(企業向けシステム開発)
593万「この機能をこんな風に作ってください」という依頼を受けて、企業向けシステムの一機能を作りテストをするエンジニア。
SE・プログラマー
(ソフトウェア開発)
568万「この機能をこんな風に作ってください」という依頼を受けて、自社製品の一機能を作りテストをするエンジニア。
ITスペシャリスト758万データベース、セキュリティ、ネットワーク等の特定技術に深い技術を持ち、周囲のエンジニアを支援するエンジニア。
IT運用・管理(企業向けシステム運用)608万企業のシステムが安定して動き続けるよう、メンテナンスする。
IT保守(企業向けシステム保守・サポート)592万既に動いている企業のシステムに対して、追加の開発や改善を施す。
IT営業783万企業向けのIT製品を提案したり、オーダーメイドのシステム開発を企業へ提案したりして、自社に売上をもたらす。
インターネットサービスのサポート・ヘルプデスク390万インターネットサービスやアプリの利用者からの問い合わせを受けて回答する。
IT業界の職種別平均年収 (出典 経済産業省 IT関連産業の給与等に関する実態調査結果

職種によって求められるレベルは異なり、高いスキルが必要な職種ほど平均年収は上がります。

職種がいっぱいある上、馴染みのない言葉もありよくわかりません…

多岐に渡るIT業界の職種については以下の記事で詳細を解説しています。

IT業界の15職種の仕事内容と年収を10年経験者が解説!

IT業界の残業時間

IT業界の残業時間がどれくらいかを理解してもらうために、複数の調査結果を紹介します。

厚生労働省の調査によると月間残業時間は16時間

厚生労働省による毎月勤労統計調査によると、IT業界における社員の1か月あたり残業時間は16.1時間でした。他の業界と比べて残業時間が少し多い結果になっています。

厚生労働省による毎月勤労統計調査とは

労働時間等の変動を明らかにすることを目的に厚生労働省が実施している調査です。大正12年から定期的に実施されている国の重要な統計調査であり、情報の信頼性は高いです。

尚、この調査では職種を分けずに「IT業界」という括りで調査されているため、IT業界内での職種別の残業時間はわかりません。

職種別調査ではITエンジニア職の残業時間は月平均20時間以上

2021年に国内最大手転職サイトdodaが発表した職種別の残業時間調査によると、IT業界のエンジニア職種の残業時間は以下の通りです。

ITエンジニア職の平均残業時間
(出典 doda
20代
18.2時間
30代
22.0時間
40代
24.0時間
50代
23.1時間

現在IT業界で勤務している私も月20時間程度の残業はしており、現場の実態に合った調査結果と感じます。

【実話】IT業界の残業は確実に減っている

私はIT業界で10年以上勤務していますが、以前と比べると残業時間は確実に減ってきていると言えます。約10年前に私がIT業界で営業職として勤務していた頃と現在の残業時間は以下の通りです。

2012年頃現在
平均的退社時間21~22時頃18~19時頃
月の残業時間合計60~80時間20時間
IT業界に勤務する筆者の残業時間

この10年間でIT業界は長時間労働の是正に取り組んできました。なぜならば、長時間労働の文化を継続していると社員が他社へどんどん流出してしまうからです。

IT業界のメリット・デメリット

実際にIT業界で10年以上働いている私が感じた、IT業界で働くことのメリットとデメリットは以下です。

IT業界のメリット
IT業界のデメリット
  • 業界全体が成長中で年収や働く環境が向上しやすい
  • 人材流動性が高く転職しやすい
  • 進化が早く常に学ぶ必要性がある

以下、順に解説します。

メリット①業界全体が成長中で年収や働く環境が向上しやすい

IT業界は10年以上毎年成長し続けています。以下は経済産業省による、IT業界の売上高合計に関する調査結果です。

IT業界の売上高推移
(参考)経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」よりグラフ作成

IT業界全体の成長とは、業界を構成するIT企業の成長・事業拡大を意味します。事業拡大していくには、人手が必要です。人材に対する需要が高まります。需要が高まると人材の取り合い競争が激化し、各企業は以下の魅力をアピールします。

人材への需要が高い業界で各企業がアピールする例

  • 柔軟に働ける環境を提供
  • スキルに応じて高い年収を支払う

なぜならば、働く環境の条件が他社と比較して劣っていれば社員は他社に転職してしまい、事業拡大が難しくなるからです。

IT業界の柔軟な働き方の例
柔軟な働き方
  • 完全リモートワークOKで出社不要
  • 特定の時間帯にさえ仕事していれば勤務開始・終了時刻は何時でもOKなコアタイム制度採用
  • 産休・育休は即取得OK
  • 育児や介護で時短勤務OK

実際、これまで年功序列の給与体系をとってきた日系の大企業ですら、スキルを持った若い人材には年収1,000万以上出すと宣言しています。

NEC、新卒に年収1000万円超 IT人材確保に危機感

日本のIT(情報技術)大手が若手の研究者や技術者の報酬を増やす。NECは優秀な研究者には新入社員でも年収1000万円以上を支払う制度を導入する。富士通はカナダの人工知能(AI)子会社で役員待遇の報酬を検討する。IT業界ではGAFAなどの米国企業などが厚遇で世界の人材を集めている。危機感を強めた日本企業は若手を照準に市場価値に見合った評価を導入し、硬直的な賃金制度を見直す。

2019年7月9日付 日本経済新聞

以上をふまえ、IT業界では自分の年収や働く環境が向上しやすいメリットがあります。

メリット②人材流動性が高く転職しやすい

IT業界は転職がさかんです。

筆者の体験談

私が所属してきたIT企業3社でも、同じ部署の半分以上が転職者でした。

筆者が勤務したIT企業同じ部署にいた人のうち転職者の割合
1社目60%が転職者
2社目100%が転職者 ※新卒採用せずに中途採用でしか社員を採用しない企業
3社目80%が転職者
筆者が所属したことのあるIT企業における転職者の割合

IT業界では転職すること自体がポジティブに捉えられており転職のハードルが低いです。何かしらの理由で転職したくなった際、すぐに転職先が見つかりやすいメリットがあります。

IT業界未経験者

転職者が多いなら、ブラックな業界なのでは…?

もしもIT業界全体がブラックなら、そもそもIT企業には転職せずに他の業界にいくはずです。IT業界へ転職してくる人が多いということは、IT業界全体がブラック企業ではないことを表しています。

もちろん、全てのIT企業がホワイト企業という訳ではありません。企業によって社風も仕事量も異なる上、たとえホワイト企業であっても急な人事異動で自分とは相性の悪い人が上司になる可能性もあります。しかし、IT業界では転職したくなった時に転職しやすいのです。

予期せぬ事態に陥り転職したくなった時に、すぐにその環境を抜け出すための別の選択肢が多いのがIT業界の良いところです。

デメリットは進化が早く常に学び続ける必要性

IT業界が他の業界と大きく異なる点として、技術進化のスピードが速すぎることがあります。例えば、3年前には業界内で主流だった技術や製品が廃れてしまうシーンは珍しくありません。

エンジニアでも営業でも、新しい技術を学び続けなければ埋もれていきいずれはお払い箱となってしまう可能性があります。

IT業界未経験者

業界全体が成長しているIT業界に転職さえできれば、人生安泰と思ったのですが…

成長業界に所属していればスキルや年収が上がりやすいのは事実です。しかし、それは自ら学び続けて自分のスキルを高めている人だけです。学ぶことをやめた人には暗い未来が待っています。例えば、業界最大手のIT企業でも最近は早期退職を募集するケースが増えています。

早期退職とは?
  • 従業員が通常よりも早く自主的に退職するための制度
  • 会社が退職者を募り、それに応募した従業員が通常よりも早く自主的に退職する
  • 会社が募った退職に応じてもらう代わりに、退職者に対して支払う退職金を割増しして支払う
早期退職を実施したIT企業の例

技術進化のスピードが早い分、過去の経験が活用しなくなるタイミングが早く訪れるのがIT業界です。技術の進化に置いて行かれないよう、学び続ける必要があります。

逆に、ずっと同じことを続ける事にやりがいを感じず、新たな知識を学んで新たな仕事に積極的に挑戦していきたいと思っている人にはIT業界は合っています。

IT業界への適正は「チームで仕事を進められるか」

一言で「IT業界」といっても職種別に仕事内容が全く異なるため、伴って適正も職種別に異なります。例えば、エンジニア系職種と営業職とでも適正は違ってきます。

ただし、IT業界で10年経験してきた感想として、職種問わず必要な適性が1つだけあると感じています。

それは「チームで仕事を進めようとする姿勢があるか否か」です。

IT業界に向いている人
IT業界に向いていない人
  • チームで仕事を進める姿勢がある
  • 個人で仕事を進めたい

他の業界であれば、一人で完結できる仕事もあるかと思います。しかし、IT業界の全ての仕事において、一人で完結できるものはありません。

自分以外の誰かと協力しながら仕事を進めることに苦を感じないなら、IT業界への適性があると言えます。逆に、とにかく自分一人で仕事の成果を追い求めたい人には、IT業界は合っていません。

まとめ:IT業界とは?

以上、IT業界について解説しました。改めてまとめると以下の通りです。

何をしているかというと…情報通信技術を用いて人々の生活や企業活動を支えている
どんな企業があるかというと…以下の5つに分類される企業が存在する

・インターネット業界
・ハードウェア業界
・ソフトウェア業界
・通信インフラ業界
・情報処理サービス業界
どんな職種があるかというと…情報通信技術を使って製品・サービスを作るエンジニア系職種

製品・サービスを顧客に届けるビジネス系職種

企業活動を支えるスタッフ系職種
未経験からは…転職可能
平均年収は…業界全体では433万

ただし職種毎に年収は大きく異なる
残業時間は…月20時間程度
メリットは…業界が成長中で年収や働く環境が向上しやすい上に、転職もしやすい
デメリットは…学び続ける必要性
向いているのは…チームで仕事を進める姿勢がある人

少しでもIT業界に興味を持ってくれたら幸いです。読んでいただきありがとうございました。

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