IT業界のヒエラルキーとは?上流ベンダなら人生安泰!経験者が暴露

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IT業界のヒエラルキーとは
ITエンジニアに興味がある人

IT業界にはヒエラルキーがあるらしい…やっぱり業界としてブラックなんだろうか…IT業界に魅力は感じていたけど、やっぱり辞めた方が良いかな…

IT業界にヒエラルキーがあるのは事実です。特に「多重下請け構造」という批判が目立ちます。

しかし、だからと言ってIT業界がブラックかというと全くそんなことはありません。そもそも、ヒエラルキーや多重下請け構造を持つ業界はIT業界以外にもたくさんあります。

その中でもIT業界のヒエラルキーには以下のメリットがあります。

  • 業界内での転職がさかんなので、ヒエラルキー下位から上位への転職は当たり前
  • ヒエラルキー上位の企業は年収が高い

IT業界のヒエラルキーをうまく活用すれば、高い年収や働きやすい環境を手に入れられるのです。

この記事では、実際にITエンジニアとして働いている筆者が、IT業界のヒエラルキーについて、そのメカニズムや逆手にとって活用する戦略を告白しています。

この記事を読めば、IT業界のヒエラルキーはマイナスどころかむしろ年収を上げていくためのチャンスであると理解し、ヒエラルキーを活用するためのノウハウを獲得できます。

目次

IT業界のヒエラルキー・多重下請け構造とは

IT業界には、多重下請け構造という仕組みが存在しています。

多重下請け構造とは、クライアントと直接契約する1次請け企業(プライムベンダーと呼ばれることもあります)を頂点として、ピラミッド状に何層もの下請け企業が存在する状態のことです。

1次請け企業は、クライアント企業から受注した業務のうち以下を2次請け企業へ委託します。

  • 自社のエンジニアではなく外部企業でも対応できる業務
  • 自社で対応するより外注した方がコストが安くなる業務

さらに、2次請け企業も上記に該当する業務は3次請け企業へ、3次請け企業は4次請け企業へと委託していきます。

以上のようにピラミッドの上位層から下階層へ業務を委託する構造が、多重下請け構造です。

IT業界のヒエラルキー・多重下請け構造が生まれるのは自然の摂理

多重下請け構造は日本のIT業界が抱える問題点として、批判されることも少なくありません。実際、多重下請け構造は完璧な仕組みとはいえず課題はあります。

一方で、それでも現在多重下請け構造という仕組みがIT業界に残っているのは、なくすことができない以下の理由があるからです。

  • 中小企業は、規模が大きいシステム開発プロジェクトに必要な人員を確保できないから
  • 中小企業は一次請けするための資金的体力がないから
  • 中小企業はトラブル発生時のリスクに耐えられないから
  • 大企業はコスト削減を理由に下請へ外注せざるを得ないから

以下、順に解説します。

理由①中小企業は、規模が大きいシステム開発プロジェクトに必要な人員を確保できないから

企業規模に応じて受注できるシステム開発案件の規模は異なります。

なぜならば、システム開発に必要な人員の調達能力は企業規模によって異なるからです。

システム開発には、多くのエンジニア人員が必要です。

例えば、総予算が10億円で2年間のという開発プロジェクトの場合、エンジニアの単価を1人100万円/月と仮定すると1,000人(10億÷100万円/月)のエンジニアを確保しなければなりません。

この規模のエンジニアを自社の社員だけで確保するのは難しいため、外部の開発会社から調達するのが一般的です。

大企業であれば、外部の開発企業と幅広いコネクションがあるため比較的容易に調達できます。

一方で中小企業は調達力が低いため、必要なエンジニア人員を調達できないことが多いのです。

このような背景により、中小企業は発注主であるクライアントに対して直接提案しても受注できないため、一次請けになれず2次請けや3次請けとしての仕事が多くなります。

理由②中小企業は一次請けするための資金的体力がないから

システム開発の契約では、システムが完成してクライアントの検収が完了したらクライアントが代金を支払うのが通常です。

システムが完成していない開発期間中は収入が発生しません。

一方で、エンジニアとして働いている社員や外部のパートナー企業には給料や代金を都度支払う必要があります。

そのため、自社の規模に見合わない規模の案件を受注してしまうと、資金繰りに失敗するリスクが高まります。

理由③中小企業はトラブル発生時のリスクに耐えられないから

万が一プロジェクトが失敗した場合、その理由によってはクライアント側企業から損害賠償請求を受けることがあります。

中小企業は賠償額が高額な場合は支払えず倒産するリスクがあります。

大企業はコスト削減を理由に下請けへ外注せざるを得ないから

クライアントは可能な限り開発コストを抑えようとします。

クライアントからのコスト削減要望に対して、一次請け企業は一部の業務を下請け企業へ委託することで開発コストを削減しています。

多重下請け構造が存在するからこそトータルの開発コストが削減できており、一般消費者が手に取る商品やサービスの価格低減を実現できているのです。

そもそも、多重下請け構造はIT業界だけの仕組みではありません。建設業界や物流業界でも、IT業界と同様に多重下請け構造が必要とされていることからも、この構造が生まれるのは自然の摂理といえます。

IT業界のヒエラルキー・多重下請け構造は批判せずに利用すべき

下請企業で働くITエンジニアの中には「一次請け企業のせいで自分たちの年収があがらない」と考える人もいます。しかし1人のITエンジニアが業界の仕組みを批判したところで、何も変わりません。

多重下請け構造は批判するのではなく、自身の労働環境の改善や年収アップのために最大限利用すべきです。

IT業界ヒエラルキーの上位(一次請け・元請け・自社開発)

IT業界ヒエラルキーの上位には、下記のような企業が属しています。

  • 一次請け
  • 元請け
  • 自社開発

企業からシステム開発を請け負うビジネスモデルの場合は、クライアント企業と直接契約する「一次請け」あるいは「元請け」となるIT企業を指します。

たとえるなら、家づくりをイメージしてください。家を建てたい家主は、大手住宅メーカーと直接契約を結びます。しかし、実際に作業を行うのは中小工務店や地元の大工です。

これをIT業界におきかえると家主がクライアント、大手住宅メーカーが一次請け企業、中小工務店や地元の大工が下請け企業となります。

また、自社のプロダクトやサービスを開発・提供している企業においては、自社開発している企業自身が、IT業界のヒエラルキー上位に属します。

IT業界ヒエラルキーの上位の企業は規模が大きいです。しかし、全ての開発工程を自社のエンジニアだけで対応するのは、コスト的にも人員リソース的にも難しいです。そのため、一次請け企業は、二次請け企業を活用しています。

IT業界ヒエラルキー上位の企業

上位の企業の具体例は以下です。

企業名従業員数
NTTデータ19万人
日立製作所2万8,672人
富士通12万4,000人
野村総合研究所7,206人
SCSK1万6,296人
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)1万565人
TIS2万1,972人
オービック2,107人
富士ソフト1万7,645人
アクセンチュア2万3,500人 ※日本法人

IT業界ヒエラルキーの中位(二次請け)

IT業界ヒエラルキーの中位に属するのは二次請け企業です。

ヒエラルキー上位の企業がクライアントから請け負ったシステム開発業務のうち、その一部を請け負います。そのため、二次請け企業とクライアントの間では契約が発生せず、二次請け企業にとっての契約対象は一次請け企業です。

「家づくり」の例に例えると、家を建てたい家主と直接契約した大手住宅メーカーから「外構工事」や「内装」など一部作業を受注した中小工務店にあたります。

なお、ヒエラルキー上位企業から受注した業務を自社だけで対応することが難しい場合、3次請けのIT企業へ外注することも少なくありません。

IT業界ヒエラルキー中位の企業

中位の企業の具体例は以下です。

企業名従業員数
DTS6,157人
ジャステック1,391人
NSD4,380人
インフォテック533人
東和システム410人

IT業界ヒエラルキーの下位

3次請け企業、4次請け企業等が該当します。

下位に属する企業は、ヒエラルキー中位の企業が一次請け企業から請け負ったシステム開発のうち、その一部を請け負います。

中位企業と同様にクライアントとは直接契約せず、1つ上(3次請けであれば2次請け企業、4次請けであれば3次請け企業)の企業と契約を締結しています。

「家づくり」に例えると、家を建てたい家主と直接契約した大手住宅メーカーから一部業務を受注した中小工務店から、さらに部分的な作業を受注した地元の大工に相当します。

IT業界ヒエラルキー下位・中位から上位には転職できる

ヒエラルキーの下位や中位で働いているITエンジニアが、上位の企業に転職するのはIT業界では当たり前です。

下位〜中位は比較的規模が小さい企業が多いため、幅広い開発領域のスキルを有したフルスタックエンジニアとして活躍している人も少なくありません。

また、セキュリティやクラウドなど、特定領域に特化したスペシャリストとして働いている人もいます。

下位・中位に属する企業のエンジニアであっても、保有しているスキル次第で市場から高く評価されるため上位企業へ転職できるのです。

また、現時点ではスキルが低くてもこれから習得していけばヒエラルキー上位企業への転職は実現可能です。

IT業界ヒエラルキー上位へ転職するメリット

  • 年収が確実に上がる
  • 働きやすさが上る
  • 自社開発企業なら最新の技術スキルを身につけられる
  • SIer企業ならプロジェクトマネジメントスキルを身につけられる

以下、順に解説します。

年収が確実に上がる

IT業界ヒエラルキー上位の企業へ転職すれば年収が上がります。

IT業界ヒエラルキー上位の企業は、中位〜下位の企業と比較すると利益率が高いです。社員の給与は利益を原資とするため上位企業は年収が高い傾向にあります。

従って、ヒエラルキー上位企業へ転職すれば年収を確実に上げられます。

働きやすさが上る

IT業界ヒエラルキー上位の企業は、優秀な人材を確保するために労働環境の改善に力を入れています。

ヒエラルキー上位企業は大企業のため、以下に取り組んでいます。

  • 働き方改革
  • 女性活躍推進
  • コンプライアンスの順守

上記の活動を行うための予算も十分保有しています。

以上をふまえ、上位企業に転職すればI働きやすさが上がります。

自社開発企業なら最新の技術スキルを身につけられる

ヒエラルキー下位企業の場合、上位企業から受託した作業に取り組むことになります。しかし、それらは最新の技術などを要しない作業が多いため、ITエンジニアが成長しにくい点が課題です。

一方で自社開発企業は、競合他社との優位性を創出するために最新の技術を活用した機能の開発などに積極的です。

ヒエラルキー上位の自社開発企業に転職すれば、ITエンジニアとして市場価値の高いスキルを獲得できます。

SIer企業ならプロジェクトマネジメントスキルを身につけられる

ヒエラルキー上位企業には、SIer企業が多く存在しています。

SIer企業は、下流工程である詳細設計やプログラミングなどは自社では行わず、プロジェクトマネジメントや上流工程に特化しています。

比較的若い年代から、下請企業の管理やクライアントとの折衝などを担当することになるため、自ずとプロジェクトマネジメントスキルを伸ばせます。

プロジェクトマネージャーは人材不足の状況が続いており、転職市場でも高く評価されています。

そのため、SIer企業でプロジェクトマネジメントスキルを身に付ければ、自信の市場価値を高めることが可能です。

IT業界ヒエラルキー下位から上位に転職するための戦略

  • 単純作業・定型作業の効率化を自ら推進して達成した実績を作る
  • ヒエラルキー上位の企業にニーズのあるスキルを磨く
  • 客観的な証明として資格を取得しておく

以下、順に解説します。

単純作業・定型作業の効率化を自ら推進して達成した実績を作る

単純作業や定型作業を工夫して効率化を達成した実績を蓄積してください。

ヒエラルキー上位企業では、受動的よりも能動的な姿勢の方が高評価を得やすいです。なぜならば、上位企業では未知の問題への対応が必要になったり、プロジェクトメンバーを率いていくことが重要だからです。

単純作業や定型作業などについて、自らが推進して効率化を達成した実績を作っておけば、能動的に動ける人材と評価されます。

「入社後も同様の活躍をしてくれる」と期待されるでしょう。

結果として上位企業への転職成功率が上がります。

ヒエラルキー上位の企業にニーズのあるスキルを磨く

ヒエラルキー上位企業と下位企業では、求められるスキルが異なります。そのため、上位企業にニーズがあるスキルを身につけておくことが重要です。

一般的にヒエラルキー上位企業は、プロジェクトマネジメントスキルや要件定義および基本設計などの上流工程に必要なスキルが求められます。一方で下位企業は、詳細設計やプログラミングなどの下流工程が主な業務です。

これまで下位企業で働いていたITエンジニアも、プロジェクトマネジメントやコンサルティングなどのスキルを学習しておけば、上位企業から内定をもらえる可能性が上がります。

客観的な証明として資格を取得しておく

IT関連の資格を取得しておけば、ヒエラルキー上位企業への転職成功率が上がります。

中途採用では即戦力人材を求めています。資格を取得しておけば、第三者が自身の知識やスキルを客観的に証明してくれます。

また、自己研鑽ができる人材、あるいは向上心がある人材という印象を与えられます。

その結果、ヒエラルキー上位企業から高評価を得やすくなるでしょう。

まとめ

以上、IT業界のヒエラルキーについて解説しました。改めてまとめると以下の通りです。

IT業界のヒエラルキー・多重下請け構造とはクライアントと直接契約する1次請け企業を頂点として、ピラミッド状に何層もの下請け企業が存在する産業構造を指す。
IT業界のヒエラルキー・多重下請け構造が生まれる理由中小企業は、規模が大きいシステム開発プロジェクトに必要な人員を確保できないから
中小企業は一次請けするための資金的体力がないから
中小企業はトラブル発生時のリスクに耐えられないから
大企業はコスト削減を理由に下請へ外注せざるを得ないから
IT業界のヒエラルキー・多重下請け構造は批判せずに利用すべき多重下請け構造は批判するのではなく、自身の労働環境の改善や年収アップのために最大限利用すべき。
IT業界ヒエラルキーの上位一次請け、元請け、自社開発企業を指す。
IT業界ヒエラルキーの中位ヒエラルキー上位の企業がクライアントから請け負ったシステム開発業務のうち、その一部を請け負う二次請け企業を指す。
IT業界ヒエラルキーの下位3次請け企業、4次請け企業等が該当する。
IT業界ヒエラルキー下位・中位から上位には転職できる下位・中位に属する企業のエンジニアであっても、保有しているスキル次第で市場から高く評価されるため上位企業へ転職できる。
IT業界ヒエラルキー上位へ転職するメリット年収が確実に上がる
働きやすさが上る
自社開発企業なら最新の技術スキルを身につけられる
SIer企業ならプロジェクトマネジメントスキルを身につけられる
IT業界ヒエラルキー下位から上位に転職するための戦略単純作業・定型作業の効率化を自ら推進して達成した実績を作る
ヒエラルキー上位の企業にニーズのあるスキルを磨く
客観的な証明として資格を取得しておく
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