- 今SIer営業でそこそこ満足している
- 給料は悪くないしこのまま人生安泰
今SIer営業で現状に満足してるあなたは、将来設計やキャリア戦略を後回しにしていませんか?
実は、今安定しているからといって自分の将来を考えないことは非常に危険です。
- 上場企業の早期退職募集は3年連続で増加している
- 早期退職してからの転職は、競合の多さと転職市場からの評価をふまえ非常に厳しい闘いになる
- 自分の将来価値を考えながら働くのと将来を全く考えずに働くのでは、身につくスキルの量と質が全く異なる
私は新卒でIT企業に入社して10年間SIer営業として勤務してきました。
入社7年目までは自分の価値や将来について全く考えていませんでした。
年収に満足していたしこの会社は絶対に潰れないと思っていたからです。
仕事をしていく上で、周囲の30代~50代には、仕事ができて会社から評価されている人達とそうでない人達がいると気付きました。
- 自分は今後どうなっていくのか?
- 自分にはどれくらいの価値があるのか?
以上が気になり、キャリア形成について調べていくと身の毛がよだつほどの現実を知ったのです。
自分の強みを見直し、5年後、10年後、20年後を見据えたキャリア戦略を考え実行しています。
この記事では、将来への危機感が無かった私が真面目にキャリア戦略を立てた手順と考え方を紹介します。
この記事を読むと、現在将来を考えていない人でも、危機意識をもってキャリア戦略を考えるきっかけと具体的な手順を知ることができます。
- 市場の現実と実態を知る
- 自分自身を言語化する
- ありたい姿を言語化する
- ありたい姿とのギャップを埋める計画をたてる
市場を知る
戦略をたてるには、自分をとりまく環境の実態をまず知るべきです。
なぜなら、市場に応じてとるべき戦略は変わるからです。
あなたラーメン屋を経営しているとします。
もっと売上を増やしたいと思ったら、市場を知る必要があります。
- 今はどんな顧客が来店しているのか?
- この店の周辺にはどんな層の人が多いのか?
- 競合となる飲食店はどこか?
市場と顧客を知る必要があるのは理解しました。
でもキャリア戦略における自分の顧客って何ですか…?
あなたにとっての顧客は会社です。
会社は「所属する組織」ではなく「あなたの顧客」
わたしにとっての顧客が会社…?
ちょっと何を言っているのかよくわかりません。
会社員として仕事をしていると、会社とは自分が所属しているチームのような感覚を持ちます。
実際、あなたは会社に所属している会社員です。
しかし、これまで所属してきた学校、部活、サークル等とは全く異なる点があります。
それはあなたと会社は雇用契約を締結していて、あなたは会社に雇われていることです。
労働者と企業とで以下を約束する契約です。
- 労働者が企業に従い仕事をする
- 企業は労働者に報酬を支払う
あなたは労働契約に基づき、企業に対して労働力を提供します。
その結果給料をもらっています。
言い換えると、あなたは労働力という自分の商品を企業に販売して、その対価を受け取っています。
商品を売っているという観点では、企業はあなたにとっての顧客という存在になります。
会社も個人も顧客に価値を提供する
会社は顧客に価値を提供し売上と利益を得なければ存続できません。
顧客に価値を提供していない企業が生き残れないのは当然ですよ。
それは個人についても同様です。
個人も顧客である会社に対して成果を出し価値を提供しなければ対価はもらえません。
え…私は毎日出社して真面目に出社しているので、成果だけで判断してほしくないです…
成果主義怖い…
成果主義という言葉には怖さを感じます。
しかし、顧客からお金をもらうのであれば成果を求められるのは本来至極当然のことです。
市場から求められるスキル
個人も、顧客となる企業へ価値を提供するべきと理解しました。
具体的に何を提供すべきでしょうか?
個人が企業に提供するのは自分自身の労働力です。
現在の世の中では、提供できる労働力=スキルの種類に応じて企業からの評価が異なっています。
4つの分類と希少価値
ここでは、4つに分類して解説します。
高い専門性と事業運営に関わるスキルと経験を持ち、新たな経営課題・事業課題に対応する人。
【例】社長
高い専門スキルを持ち、事業に必要な専門性を提供する人。
【例】弁護士、税理士、エンジニア
儲かる仕組みを運営し、価値を生み出すスキルを持つ人。
【例】部長、課長、マネージャー、店長
既に作られた仕組みの中で、定型的な業務を遂行する人。
あなたが今担当している仕事をふまえると、あなたはどの領域に所属していますか?
必ずどれか1つに当てはまるという訳ではありません。
複数に当てはまることもあります。
以上について、どれが偉い、どれが優れているという優劣はありません。
企業の事業運営においてはどれも必須のスキルです。
しかし、世の中に存在する数の大小には違いがあります。
人数の少なさは希少性に繋がります。
- 希少性が高いとより多くの企業からそのスキルを求められ、対価としてもらえる給料も上がりやすくなります。
- 一方で人数が多い場合は希少性が下がるため、供給量が多く競争が激しくなります。
企業の安定性と個人の安定性は切り離して考える
会社を自分にとっての顧客・市場と考える。
顧客・市場に提供している自分のスキルを分類する。
…なんかめんどくさいです。
ぶっちゃけ大企業に所属してればそんなこと考える必要ないのでは?
絶対潰れない企業にいれば大丈夫でしょ!
潰れる可能性が極めて低い企業は多いでしょう。
しかし、企業の安定性とあなたの人生の安定性は全く別ものです。
例えば、40代、50代を対象とした早期希望退職は年々増加しています。
- 従業員が通常よりも早く自主的に退職するための制度
- 会社が退職者を募り、それに応募した従業員が通常よりも早く自主的に退職する
- 会社が募った退職に応じてもらう代わりに、退職者に対して支払う退職金を割増しして支払う
従来、早期退職は「業績悪化に伴う人員整理」という扱いが一般的でした。
しかし現在では、上場企業や業績が良い企業も早期退職を募集しています。
- 2021年には上場企業のうち80社が計1万5296人の早期退職を実施
- 2017年から4年連続で早期退職は増加傾向
- 2021年に早期退職を募集した企業の業績は黒字企業40%、赤字企業60%、
黒字で業績が良い企業がなぜ早期退職で人員整理するのですか・・・?
- 市場環境に順応するために、若くて優秀な人材を集めたい。そのためには中高年の人数を減らしたい
- 新しい事業に投資していくために固定費を削減したい
以上をふまえ、「所属する企業の業績の良し悪し・将来性」と、「社員の安定性」は関係がなくなっています。
早期希望退職の実態を正確に把握して将来に備えたい方には以下の書籍がオススメです。
それまで自分が持っていた楽観的な感覚と、転職市場で受ける企業からの厳しい評価とのギャップにガツンと衝撃を受ける書籍です。
決して甘くない現実を知ることから自分のキャリア戦略を検討しましょう。
今後も自分が顧客に価値を提供し顧客から対価をもらえるか
自分の安定性と会社の安定性は分けて考えてください。
- 自分の安定性 ≠ 会社の安定性
- 自分の安定性 = 顧客である企業から自分が今後も継続して評価され続けるか
自分のスキルが企業から評価されるか否かは、企業のニーズ、競合の数といった市場環境に左右されます。
以上をふまえ、顧客である企業、自分のスキル、競合含む市場環境を意識する必要があるのです。
自分自身を言語化する
市場を意識すべきとは理解しました。
でも、私には自慢できるスキルも、提供できる価値もありませんよ…
どんな人でも、誰かに提供できる価値を持っています。
なぜなら、人は必ず弱みを持っているからです。
弱みがあるなら必ず強みもある
自慢できるスキルがないのですね。
では弱みも全くないですか?
弱みはいっぱいありますよ。
弱みがあるなら強みもあります。
なぜなら、弱みとは強みとしても活用できるからです。
弱み | 意見が無いと思われている |
↕ | |
強み | 複数の関係者と話し合いながら合意形成するのが上手い |
弱み | 同じことをしていると飽きる |
↕ | |
強み | より効率的な方法を探求する |
弱み | 常にネガティブに考えてしまう |
↕ | |
強み | リスク感度が高く、問題を顕在化する |
弱み・強みとは絶対的な価値ではなく、時・場合・相手によって変わる相対的な価値です。
自分の強みを言語化できるか
自分の労働力という商品を顧客である企業に提供していくにあたり、自分の商品の強みを具体的に言語化しておく必要があります。
顧客に対して商品の強みを伝えられなければ、価値を感じてもらえません。
企業が価値を感じるような強みを明確に意識しておくべきです。
ありたい姿を言語化する
市場と自分の現在地を認識して初めて、将来の戦略検討に移ります。
この先あなたが目指したい姿に応じて、とるべき戦略は異なります。
目指す姿と言われても何も思い浮かびません。
自分がやりたいことが何なのかわかっていないんです。
やりたいことがないなら無理に探す必要はありません。
やりたいことは見つけなくていい。5年後にどうありたいか
8割以上の人は自分のやりたいことを理解していません。
やりたいことなんて見つけられない方が普通です。
やりたいことよりも、「どうありたいか」を書き出してみましょう。
- 今の仕事の中でやっていて楽しさを感じたシーン
- 周囲から評価されたシーン
ありたい姿を実現する仕事は何でしょうか?
その仕事こそ、あなたが次に目指すべき場所となります。
より体系的に自分のありたい姿を分析して目標を定めたい方には以下の書籍がオススメです。
私自身もこの書籍で自分のありたい姿・やりたいことを言語化しました。
やりたいことは運命的に出会うものではなく、体系立てて論理的に見つけるもの。
やりたいことの見つけ方が3STEPで体系立てて理解できる、自己理解の教科書です。
SIer営業だった私がありたい姿を描いた例
例えば私の場合、過去の経験をふまえて自分のありたい姿を「ITサービスの企画職」に置きました。
- 顧客の要望を深堀・分析して機能案を考えていた時
- 自分が考えた機能案を社内外の関係者に説明してフィードバックを受けたとき
- サービスの特徴やメリットが記載された資料を作成し説明したら「わかりやすい」と評価された時
- 事前にシナリオを作りこみ練習した上でプレゼンしたら「わかりやすい」と評価されたとき
以上のようなシーンをより多く経験する仕事は何だろうか?と考えた結果、ITサービスの企画職の道へ進みたいという結論にたどり着きました。
ありたい姿と現状とのギャップを認識する
現在のあなたが希望すればありたい姿へすぐになれるわけではありません。
何故なら、企業はあなたのありたい姿を実現する支援者ではなく、労働力の販売先である顧客だからです。
顧客に対しては価値を提供する必要があります。
必要なハッシュタグを洗い出す
ありたい姿に近づいていくために有効な戦略があります。
ありたい姿に必要となるキャリアのハッシュタグを洗い出します。
TwitterやInstagramの投稿にハッシュタグ(#)をつけると、そのハッシュタグで情報をまとめて検索できるようになります。
ハッシュタグをつけることで、その投稿が何に関する投稿なのか周囲に知ってもらえます。
キャリアのハッシュタグとは自分を表すタグ
キャリアのハッシュタグとは、自分はどんな知識・スキル・経験を持っているのか周囲に知ってもらうための情報です。
キャリアのハッシュタグとは、「知識」「技能」「経験」と言い換えられます。
例えば、私がSIer営業時代に得たハッシュタグの一例は以下の通りです。
- 大企業向け営業
- 無形商材を扱う営業
- アカウント営業
- ソリューション営業
- 営業マネージャー
- 提案のためのヒアリング
- 提案書作成
- プレゼンテーション
- 契約交渉
- IT業界
- システム開発
- 金融機関向けシステム
- ITインフラ構築
- 築既存顧客の深堀り
- 新規顧客発掘
- チームのマネジメント
- システム障害発生時の顧客窓口対応
- 開発・運用チームと合意しながら仕事を前に進める姿勢
- 顧客側複数組織と合意形成しながら提案する思考・行動プロセス
- 事実を収集しながら方針案を立てて周囲と合意形成する姿勢
SIer営業の業務は多岐にわたるため、幅広いタグを保有しているケースが多いでしょう。
5年後にありたい姿について、必要なハッシュタグを書き出してみてください
ありたい姿に必要なハッシュタグと、現在あなたが保有しているハッシュタグがあれば、その差分を埋めなければなりません。
ありたい姿を実現する仕事は何でしょうか?
その仕事こそ、あなたが次に目指すべき場所となります。
今後は一人一人が主体的にハッシュタグを獲得して生きていく社会になる――。
現状に満足していても、自分の人生は自分で舵取りをする時代になっています。
私は以下の書籍を通じてこの考え方を身につけました。
ありたい姿と現在とのギャップを埋める計画
今保有していないハッシュタグを手に入れるには、現状とは違うことをやらなければなりません。
- 今の会社の今の仕事の中で、欲しいハッシュタグを得られる仕事を経験する
- 今の会社で部署を異動して、欲しいハッシュタグを得られる仕事を経験する
- 別の会社へ転職して、欲しいハッシュタグを得られる仕事を経験する
自分の意思をもってハッシュタグを獲得しにいく必要があります。
会社に所属していれば定期的に異動があるし、待ってればいつかは欲しいハッシュタグを得られるのでは?
ハッシュタグの獲得を会社に委ねてはいけません。
身に着けたいタグは自分からとりにいく
会社はあなたのキャリア形成を支援する保護者ではありません。
会社はあなたの労働力の販売先である顧客です。
あなたの顧客は、あなたの今後の計画を優先的に考慮しません。
自分が獲得したいハッシュタグを得るには、自分で意思を持って行動していくしか無いのです。
まとめ:市場に合わせて自分の労働力という商品を育てていく
以上、自分の価値や将来について全く考えていなかった私がキャリア戦略をたてた手順と考え方を紹介しました。
- 会社は自分の顧客と位置づける
- 顧客から評価される価値を提供しないと個人も生き残れない
- 自分が顧客へ提供できる強みを言語化する
- 将来ありたい姿から逆算して身に着けるべきハッシュタグを獲得する
以上を意識するかしないかで、毎日の過ごし方は異なるはずです。
その積み重ねが5年後、10年後の自分を作ります。