IT業界の営業職に興味がある…
でも具体的にどんな仕事をしているのかわからない…
IT業界は毎年成長を続けている成長産業です。
一方で、IT業界の営業職に関する情報ってあまり出回っていないですよね・・・?
IT営業の紹介記事は転職関連サイトでは多く見かけます。しかし、具体的にどんな仕事をしているのか外からはわかりにくいです。
なぜならば、IT営業経験者が実体験を発信しているケースが少ないためです。
この記事では、IT営業として10年間勤務していた私がIT営業の具体的な仕事内容を紹介します。
この記事を読むと、IT営業はどんな仕事をしているのか、具体的に想像できるレベルで知ることができます。
仕事内容を知れば、自分がIT営業に転職できるか判断材料にもなります。
IT営業の仕事内容は以下。
- 提案できる顧客・案件を探す
- 提案準備
- 製品紹介・ヒアリング
- 提案準備
- 提案
- 金額交渉
- 契約
- 納品
- 請求
≫ IT営業の仕事内容以前に、IT業界とは?どんな企業がいるのか?知りたい方はこちら
IT営業の仕事内容 | 提案できる顧客を探す
まずは自分が担当する自社の製品・サービスを提案できる顧客を探します。
飛び込み営業ですか・・・・?
IT営業は飛び込み営業しない
世の中には飛び込み営業をさせる企業も多く存在します。しかし、IT企業は営業に飛び込み営業をさせることはありません。
なぜならば、IT製品・サービスは飛び込み営業で売れる商材ではないからです。
提案先となる企業がIT製品・サービスを購入する際には慎重な確認・判断が入ります。
- 自社の業務と合っているか?
- 社員が使いこなせるか?
- 費用対効果はあるか?
以上のような確認・判断が必要なため、飛び込み営業して売れる商材ではないのです。
提案できる見込み顧客を作る
飛び込み営業で売れるものではないので、まずは見込み顧客リストを作る必要があります。
- まだ自社の製品やサービスを利用したことがない
- しかし興味や関心はある程度持っており、いずれは購入・利用する可能性がある
- 「リード」とも言う
見込み顧客リストを作る担当部署は企業によってそれぞれです。
IT企業においては、マーケティング部門・営業企画部門が見込み顧客リストを作るケースが多いです。
- 魅力的なホームページを作る
- 成功事例を紹介するセミナーを実施し参加者を募る
- 展示会に出展して訪問者と名刺交換する
マーケティング部門・営業企画部門が見込み顧客リストを作る場合、提案できる顧客探しの段階ではIT営業の出番はありません。
アカウント営業は提案できる案件を探す
IT営業の世界には、「アカウント営業」という存在があります。
既に自社の製品・サービスを契約いただいている既存の顧客を担当する営業。
IT業界では既存顧客を「アカウント」と呼びます
自分が担当する既存顧客に、自社の製品・サービスをより多く契約してもらうために活動する。
アカウント営業は、担当する顧客企業とコミュニケーションをとり、他の部署を紹介してもらったり、アップセルを狙える機会を探したりします。
顧客が購入したその商品と同種で「より高価で上位のもの」を提案し購入してもらうこと
IT営業に転職するなら見込み顧客リストの作り方は絶対確認
IT企業は飛び込み営業が無いと紹介しましたが、一部の企業では飛び込み営業をさせているケースもあります。
IT営業の仕事内容 | 製品紹介・提案に向けたヒアリング
見込み顧客リストに記載の担当顧客を割り当てられた後は、IT営業が主役です。
顧客へ連絡して商談をセットします。
見込み顧客の作り方が下手なIT企業では営業の負担が大きい
顧客はいつでも商談の時間をとってくれる訳ではありません。製品に興味を感じていなければ商談には当然応じません。
商談を作れるか否かは、製品の価値を顧客が認知しているか否かで大きく変わります。
製品に対する見込み顧客の認知度合いは、企業のマーケティング戦略によって大きく上下します。見込み顧客が製品をあまり認知していないと、商談をセットする難易度は上がります。
商談で製品紹介・提案に向けたヒアリング
見込み顧客との商談ではIT営業が主役です。以下のような内容で商談を進めていきます。
- 会社・製品紹介
- 顧客が現在感じている問題・課題のヒアリング
- ヒアリングした内容に対して自社の製品がどう役立てるか議論
- 次回の商談の約束
商談に出席した先方の担当者と、検討を次のステップへ進めていくことを合意できればその商談の場は成功と言えます。
初回商談で即決されるケースはかなり稀
初回の商談で即決で契約してもらえることはかなり稀です。しかし、以下のような良い条件が揃った商談であればその場で契約をとりつけることが可能です。
- 顧客の契約意欲が高い
- 決裁者が商談に出ている
- 金額に納得してもらっている
- その場で決裁できる金額規模
この条件がそろう商談はほとんどありません。
逆に言えば、こうした商談をセットできれば、素早く契約までたどり着けるということです。
優秀なIT営業は、商談の設定から工夫しています。
決裁ルートを把握すべし
企業は何かを購入する際には、決められた決裁ルート(=決裁の流れ)をたどる必要があります。
上位の権限を持つ人が、部下が出した案に許可又は不許可の最終的な判断を下すこと
決裁ルートは、購入対象の内容や金額に応じて変わるのが通常です。
3000円のコピー用紙を購入するための決裁ルートと、1億円のシステム投資の決裁ルートは異なります。金額が大きくなるにつれて決裁ルートにおける承認者が増えていきます。
決裁ルートにいる全ての承認者が承認しなければ購入意思決定されることはありません。全ての承認者との合意をとりつける必要があります。
意思決定に影響をもたらすキーマンを把握すべし
抑えておくべきは決裁ルートだけではありません。
決裁ルート上に承認者として設定されていないけど、承認者の意思決定に強い影響をあたえるキーマンが存在するケースは非常に多いです。
キーマンは一人とは限りません。
IT営業の仕事内容 | 提案準備
商談のヒアリング内容をもとに、提案に向けた準備を進めます。
提案準備の作業の内容や規模感は、提案する製品・サービスの内容や金額規模に応じて異なります。
~50万円規模の提案準備
IT製品・サービスの中では最少の金額規模です。
IT営業にはあまり提案準備に時間をかけず、素早く契約締結まで持ち込むことが求められます。
低単価の契約を多数締結するスタイルです。
大手企業であれば、決裁ルートも短く済みます。
50~500万円規模の提案準備
IT製品・サービス提案の商談にて最も多いボリュームゾーンと言えます。
中小企業であれば購入意思決定には勇気のいる額です。大企業であっても、役員レベルの決裁が必要な額です。
IT営業は、提案先顧客に意思決定してもらえるよう提案内容を細かく準備します。
500~1,000万円規模の提案準備
IT製品・サービス提案の中では大きめの金額規模です。
大企業向けの提案ではよくある金額規模です。一方で中小企業向けの提案でこの額を提示することは非常に少ないです。関係する顧客側の関係者も増えます。
複数回の打ち合わせを通じて、各関係者と丁寧にコミュニケーションをとりながら合意していく活動が求められます。
1,000万円~規模の提案準備
大企業向けの提案です。ほとんどの大企業にて、取締役会での承認・決裁が必要となります。
提案するIT企業側も、商談の場には経営層を出席させて会社としての本気度をアピールすることになります。
契約した後に製品導入がもしも失敗したら、提案するIT企業側も、契約先の顧客側も一大事です。双方、社内の上層部を巻き込んで提案・検討を進めていきます。
システム連携
全てのIT製品・サービスは情報を扱います。どんなIT製品・サービスでも、必ず情報を入力する必要があります。
企業向けの提案においては、提案するIT製品・サービスの利用方法に関して、システム連携を要望されることがあります。
システム連携を提案するには、エンジニアも巻き込んで大がかりなヒアリングと準備が更に必要となります。
- 技術的に可能か?
- どうやって実現するか?
- どれくらいの追加費用がかかるか?
システム連携は簡単じゃない
異なる2つのIT製品・サービスをシステム連携させるのは非常に大変です。
え…?
でも普段使っているGoogleアカウントで他のアプリにログインできたり、他のアプリでSNSボタン押せたり、簡単に連携できますよね?
確かに、今の世の中にはアプリ同士が連携しているケースがたくさんあります。
しかし、その連携の裏には、異なるアプリを提供する企業同士が緻密にシステム連携を作り上げた企業努力があるのです。
事前検証(Proof Of Consept)
購入したIT製品・サービスをうまく使えないことが購入後に判明したら、企業は困ります。
トラブルを予防しておくために、購入前に効果を試す事前検証を顧客が要望することがあります。
- トライアル
- POC(ポック、ピーオーシー)「Proof of Concept」の略称
顧客から事前検証を要望された場合、IT企業は検証用製品を顧客に貸し出します。
しかし、単純に貸し出すだけではうまくいきません。事前検証をする際にはその目的やゴール設定を顧客と合意します。
- 何を目的に事前検証するのか?
- 事前検証の結果、何がどれくらい達成することを確認できたら購入してもらえるのか?
提案書の作成
IT営業は顧客からヒアリングした内容をもとに、提案する自社製品・サービスによって顧客の目的を達成すること説明する提案書を作成します。
提案書の構成は提案対象の商材によって様々です。以下は私がよく使っていた提案書の目次例です。
- ご提案のお礼
- 貴社が抱える問題と、達成すべき課題について弊社の理解
- ご提案の基本方針
- 弊社サービスによる貴社の課題達成への寄与
- ご提案の範囲
- 弊社サービス導入のBefore/After
- 弊社サービスの特徴とメリット
- ご提案金額
- 初期導入作業内容
- サービス導入プロジェクト体制/役割分担
- サービス導入スケジュール案
- ご提案の前提事項
IT営業の仕事内容 | 提案
提案書の準備ができたらその内容を顧客にプレゼンします。
基本的にはIT営業が主役としてプレゼンします。提案書を作成したのがエンジニア又は内容がかなり技術よりの製品の提案の場合は、一部をエンジニアがプレゼンするケースもあります。
プレゼン内で製品のデモを実演することも多いです。
提案の場には上位者を呼んでもらう
提案プレゼンは勝負の場です。キーマンや決裁ルート上の各関係者に出席してもらうことが必須となります。
会社の本気度を見せる
どんなに提案内容がすばらしくても、顧客から信頼されないと契約してもらえません。
提案プレゼンの場には、IT営業も自分の上司や経営層を同席させます。
そして、上位者に冒頭で挨拶させ、会社としての本気度を顧客側にアピールします。
役職のない担当者だけでは会社の本気度を見せられないのです。
提案後のコミュニケーション
提案プレゼンの場で契約を合意できるとは限りません。特に、金額が大きい提案の場合は取締役会で決裁されないと契約してもらえません。
提案プレゼン後は顧客内で協議されます。前向きに検討に進めてもらえるなら、顧客側の担当者は決裁に向けた稟議の準備に取り掛かります。
自身の権限では決定できない事柄を書類に起こし、社内の上層部に承認をもらう手続きのこと。
提案プレゼン後、IT営業は顧客側の担当者と密にコミュニケーションをとり、その後の検討状況を把握します。
稟議を上げるにあたり何か障壁があれば、IT営業が対策を打つ必要があります。
IT営業の仕事内容 | 金額交渉
提案プレゼンが顧客に響いて前向きに検討してもらえたとしても、金額の交渉は必ず受けます。
大企業の場合は、稟議を進める際に金額交渉したのか否か問われます。
交渉を受ける前提で提案金額は準備しておく
金額交渉は必ず受ける前提で、IT営業は提案金額を準備しておく必要があります。
これ以上は全く下げられない額で提案してしまうと、金額交渉を受けた際に対応することができません。
IT営業は金額交渉を受けた際に、下げられる金額の幅を考慮して提案しておく必要があります。
例え最終的に顧客に提示する額が同じだとしても、「交渉で値下げを引き出した」という実績を顧客側の担当者に提供できるか否かで顧客側の心象は大きく変わります。
値引きの理由は社内・社外両方に必要
値引きを受けた際は、「言われたから下げました」という姿勢では信頼を損ねる可能性があります。
「交渉しなければこの額で契約させるつもりだったのか?」と思う顧客担当者もいます。
値下げに対応する際には、必ず交換条件を持ち掛けます。
- 契約締結の期日を設ける
- 製品を導入済の会社として社名を公開させてもらう
- 製品を利用した感想を後日取材し、事例記事として公開させてもらう
IT営業の仕事内容 | 契約
最終的な金額の折り合いがつき、顧客内での決裁が完了したら契約を締結します。
締結の手法は企業によって様々です。
- 注文書に押印してもらう
- システム開発契約書を締結する
- サービス利用同意書に押印してもらう
- Webサイト上で電子契約してもらう
契約手続きが完了するとようやくIT営業は明確に成果を出した形になります。
言い換えると、この契約に至らなければ成果にはならないのです。
IT営業の仕事内容 | 納品
契約を締結したら、IT企業側は製品・サービスを提供します。
提供の流れは商材に応じて異なります。
ソフトウェア・ハードウェア製品は商品を納品して納品完了
製品を顧客指定の納品場所に届けます。
ソフトウェア製品については、顧客がインターネットを通じて製品提供元のIT企業のサイトからダウンロードする形式もあります。
その場合は、ダウンロードに必要なパスワードをあらかじめ顧客へ届けておきます。
クラウドサービスは、サービス導入を支援して納品完了
近年普及しているクラウドサービスにおいては、IT企業側が顧客のサービス導入を支援するケースもあります。
IT企業からカスタマーサクセス担当者が顧客のもとへ赴き、サービス導入を支援します。
顧客が製品・サービスを使うことで成功し、望ましい結果を達成することを支援する職種です。カスタマーサクセスの詳細は以下の記事で解説しています。
システム開発PJは契約してからが本番
上記とは納品の流れが全く異なるのがシステム開発プロジェクトです。
契約締結完了後、IT企業にて組成されたシステム開発チームが、顧客企業とのシステム開発プロジェクトに着手します。
システム開発が完了したら、顧客にシステムを引き渡し納品となります。
システム開発が完了するまではその取引が成功か否か判断できません。
せっかく契約までたどり着いても、プロジェクトが難航すると赤字案件になってしまいます。
システム開発が完了するまではその取引が成功か否か判断できません。
IT営業の仕事内容 | 請求
製品・サービスを顧客に引き渡して顧客にチェックしてもらったらIT企業として果たすべき役割は完了です。果たした分の対価としてIT営業は顧客へ代金を請求します。
入金チェック
請求書記載の入金期日までに顧客から代金が入金されれば、一連の取引は完了です。
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IT営業の仕事内容を通じて自分の市場価値が上がる
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