IT業界内の転職

SaaS営業きつい人はSIer営業へ転職すべき3つの理由【体験談】

SaaS営業がきつい人はSIer営業へ転職すべき
SaaS営業

SaaS営業の仕事がきつい…

毎月数字に追われる…

ベンチャー企業だからワークライフバランスも軽視されて毎日長時間労働…

キャリアアップできるのは一握りだし、このままだと人生不安…

SaaS営業はきついですよね。
私もSaaS営業を経験したことがあるので辛さがわかります。

鍛えられる感じはしますが、その分ハードですよね…

SaaS企業は成長フェーズにいるので目標予算は毎度大きくて達成しずらい。

成果主義で目標達成しないと給料や役職は上がらない。

若いうちはSaaS営業として働けても、この先10年以上SaaS営業として毎月数字を追い続けるのは不安ですよね。

そんなあなたには、SIer営業への転職をオススメします。

私はこれまでSIer営業とSaaS営業の両方を経験してきました。

この記事では、SaaS営業がきついと感じる人はSIer営業をすすめる理由から、SIer営業の仕事内容や年収までを実体験をもとに解説しています。

この記事を読めば、SaaS営業のキャリアに不安を感じているあなたが、次のステップとしてSIer営業を目指す第一歩を踏み出せます。

この記事の結論

SaaS営業の「数字を追い続けるつらさ」「長時間労働のつらさ」「将来への不安」は、SIer営業になれば解決する。

この記事を書いた人

IT業界勤務ヒロマン

  • 10年間IT業界に勤務し、IT企業3社にて営業と企画開発を経験。
  • 長時間労働・顧客からのクレーム対応役といった高ストレス業務に耐えながら2回転職。
  • 現在は毎日9-18時勤務で年収800万の生活中。

運営者のプロフィール詳細はこちら

SaaS営業きつい人はSIer営業へ転職すべき3つの理由

  • 数を追う辛さから解放される
  • 目標予算を達成しやすい
  • 長時間労働から解放される

以下、順に解説します。

数を追う辛さから解放される

SIer営業はSaaS営業と異なり、大量の商談をこなしません

なぜならば、SIer営業の提案内容には、システム開発といったエンジニアの稼働が含まれるものもあるため、大量に提案できるビジネスではないからです。

実際、私のSIer営業時代とSaaS営業時代で、抱えていた提案案件数は以下の通りです。

筆者が抱えていた提案案件数
SaaS営業時代SIer営業時代
40~60件/月5件/月

SaaS営業のあなたは常に大量の提案案件を抱え、毎日5〜6の商談をこなし、夜な夜な商談記録をシステムへ入力する毎日を過ごしていませんか?

SIer営業になれば数を追う毎日からは解放されます。

SaaS営業

でも、数追わないと売上目標達成できないんですよ…

未達だと給料下げられるかもしれない…

SIer営業は目標達成のために数を追わないんですか?

実は、SIer営業はSaaS営業に比べて目標を遥かに達成しやすいのです。

 目標予算を達成しやすい

SaaS営業

同じIT業界の営業なのに、なぜSIer営業は目標予算を達成しやすいのですか?

Sier営業

2つに分けて解説します。

  • ランニング費用の更新も自分の売上実績になる
  • 売上目標の設定ハードルがSaaS企業より低い

ランニング費用の更新も自分の売上実績になる

SIer営業が背負う目標売上予算は、自分が担当する顧客又は商材の、初期費用とランニング費用の受注額で構成されます。

ここでSaaS営業と異なるのは、契約更新分のランニング費用も含まれる点です。

SaaS営業

…契約更新なんて、解約されなければ自動的に受注できますよね?

それも自分の成果になるんですか!?

SIer営業

その通りです。

賢いSIer営業は、ランニング費用が大きい案件を狙いストックビジネスを積み上げることで、毎年の予算達成の難易度を下げています。

SaaS営業

…でも、ストックビジネスを積み上げても担当顧客が変更になれば、自分が積み上げた成果も手放すんですよね?

SIer営業

その通りですが、SIer営業はそう簡単に担当顧客変更はありません。

なぜならば、SIer営業の提案は初回商談から受注まで1年以上かかることも多く、短期間で担当変更してしまうと受注確度が下がってしまうからです。

SaaS営業に比べると担当変更の頻度はかなり少ないので、積み上げた自分のストックビジネスがすぐ無駄になってしまうことはありません。

それに、担当変更になったとしても、次の担当顧客でも前任者がストックビジネスを積み上げていることもあります。

SIer営業は売上目標の設定ハードルがSaaS企業より低い

SaaS企業に比べると、SIer企業が掲げている対前年成長率の目標は決して高くありません

そもそも、SaaS企業の売上目標は高すぎます。

SaaS企業のほとんどは未上場のベンチャー企業です。
株式上場して莫大な富を得るために、経営者は投資家を説得して資金を調達します。

この際、短期間でどれだけ成長するかの目標を投資家にコミットしています。

その極めて高い目標が、SaaS営業のあなたのノルマとして降りかかってくるのです。

また、未上場なので残業時間や有休消化率といったワークライフバランスを表す数字は対外的に公表せずに済みます。

高い目標を達成して上場を果たすためには、多少の無理はいとわないのがSaaS企業なのです。

一方で、大手SIer企業は皆上場しているため、残業時間や有休消化率なども公表しなければなりません。

ワークライフバランスが悪そうと思われれば人を採用できなくなり、株主からも厳しい指摘を受けます。

SIer企業は、社員の健康も考慮しながら、無理のない売上計画を立てることになります。

成長にフルコミットしているSaaS企業と比べると、バランスを考えて売上目標を設定するSIer企業は、営業にふりかかる目標予算達成の難易度が低いのです。

長時間労働から解放される

上場を目指して成長にフルコミットしているSaaS企業は、ワークライフバランスは軽視されがちです。
「長時間労働嫌ならベンチャー・スタートアップに来るなよ…」といった雰囲気さえあるでしょう。

一方で、SIer営業はSaaS営業と比べると残業時間が抑えられます。

SaaS営業

でも、SIerもブラック業界と耳にしますが…

確かに、10年前であればかなり残業は多かったです。
2012年に新卒でSIer営業になった際の、私が所属する営業部署の当時の残業状況は以下の通りです。

時間営業部内の様子
18~19時こんな時間に退社するSIer営業はいない。

懇親会や接待等の会食が入っている人のみ退社する。
19~20時1割の人が「今日は早めに帰りますね」と言って退社。
20~21時2割「ちょっと早いけどお先に失礼します」と言って退社。
21~22時3割が「今日はこの辺で切り上げるのでお先に失礼します」と言って退社。
平均的退社時間。
22~23時3割が「そろそろ帰ります」といって退社。
この時間から「残業している感」を感じている。

懇親会や接待を終えた人がたまにこの時間に会社に戻ってきて仕事を再開する。
23~24時1割が「終電なんで帰ります」と言って退社。

当時はこの時間間隔が当たり前でした。
中高年層には「若手は遅くまで仕事するべき」と発言している人もいました。

しかし、2020年代の今はIT企業にも「長時間労働は悪」という文化が定着しています。

なぜならば、長時間労働の文化を継続していけばどんどん人が他社へ流出していってしまうため、どのIT企業もこの10年間で長時間労働の是正に取り組んできたからです。

SIer営業とは

SaaS営業

SaaS営業からSIer営業への転職をすすめる理由はよくわかったけど、SIer営業ってイマイチわからないんですよね…

実際にSIer営業として9年働いていた私が、実体験をもとに解説します。

SIerのビジネス

SIerのビジネスは大きく3つに分類されます。

  • 企業が使うシステムの開発・運用
  • 自社のエンジニアを派遣して企業のシステム開発・運用を手伝う
  • ハードウェア・ソフトウェアを販売

順に解説します。

SIerのビジネス①企業が使うシステムの開発・運用

SIerは企業からシステム開発の依頼を受け、システムを開発して納品し、代金を回収します。

納品したシステムを企業が自社で保守運用することはできないため、納品後もSIerが保守運用の面倒を見ます

今までSaaS営業だったあなたは、「企業がシステムをSIerに開発してもらう」というケースは馴染みがないかもしれません。

しかし、実は、SaaSのように完成されたサービスを企業がそのまま使う形態は2010年移行で少しづつ普及したモデルであり、それ以前はSIerに開発してもらうケースが圧倒的に多かったのです。

ゼロから作ってもらうケースもあれば、パッケージ製品をカスタマイズするケースもあります。

また、大企業の場合は以下を理由にSaaSを使わずにSIerによる開発を優先するケースが多いです。

大企業はSaaSを使わず
SIerへ開発依頼する理由
  • SaaSは中小企業をターゲットに開発されており、大企業の業務に合わない
  • 大企業は潤沢なシステム投資予算があるため、安価なSaaSを契約せずに、お金をかけてでも自社に最適化されたシステムを使いたがる

SIerのビジネス②自社のエンジニアを派遣して企業のシステム開発・運用を手伝う

SIerのエンジニアを顧客企業に常駐させ、顧客企業内のITに関する業務を支援します。

SaaS営業

システム開発とは何が違うのですか…?

「システムを作って納品してお金をもらうビジネス」と、「エンジニアを常駐させてその単価をもらうビジネス」という違いです。

このビジネスモデルは「ソフトウェア・エンジニアリング・サービス」(SES)とも呼ばれています。

※SESを専門にしている企業はSES企業と呼ばれます

ハードウェア・ソフトウェアの販売

実は、SIerはシステムを開発するだけでなく、システムを構成するハードウェアやソフトウェアの代理店という役割も担っています。

SaaS営業

代理店…?ハードウェアベンダやソフトウェアベンダが直接販売するのではないのですか?

日本の企業向けのITビジネスにおいてはハードウェア/ソフトウェアベンダが自社の商品・サービスを直接エンドユーザーへ販売するケースは基本的にありません。

直接販売を許容していないか、直接販売も可能だけど代理店を通した方が安くなる価格設計になっています。

SaaS営業

え?なぜ直接販売しないのですか?

これまでほとんどの日本企業は自社にハイレベルなITエンジニアを置かず、システムの導入検討から開発、運用までをSIerに依存してきました。

そんな日本企業にIT製品を直接販売すると、ベンダは販売後のサポート負荷がものすごく高くなってしまうのです。

そこで、ハードウェア/ソフトウェアベンダはSIerに販売代理店になってもらうことで、ITレベルの低いエンドユーザー企業から直接問い合わせを受けずに済みます。

ハードウェア/ソフトウェアベンダにとっては、SIer経由で自社の商品を販売した方が遥かにメリットが大きいのです。

SIerは販売代理店として商品を売ればマージンを稼げるため、自社が代理店になった商品を活用してシステム開発を提案します。

SIer営業の仕事内容

  • システム提案
  • 担当PJの円滑な進行を支援
  • 見積・お金・契約関連の顧客対応

以下、順に解説します。

システム提案

SaaS営業と同様に、SIer営業も顧客向けに提案して受注を勝ち取る役割を担います。

一方で、SIer営業とSaaS営業は明確な違いもあります。

SIer営業とSaaS営業の違い
  • 顧客へ提案するモノの幅が広い
  • 提案金額が大きい
  • 関係者が多い

SIer営業とSaaS営業を両方経験した私が感じた違いは以下の通りです。

SaaS営業SIer営業
提案する商品・
サービス
自社のSaaS顧客の課題を解決するIT製品・サービス・自社開発システム等
提案する商品の
カスタマイズ
なし(禁止)あり
提案金額規模■初期費用
10~500万

■ランニング費用
10~数百万/月
■初期費用
500万~数億

■ランニング費用
100~1,000万/月
提案先企業規模社員10~5,000人社員1,000~1万人以上
初回商談から受注までに要する期間1~3か月6か月~1年以上
提案に必要な
社内レビュー
営業部の上司のみ営業部門
開発部門
財務部門
法務部門
提案を作る人担当営業担当営業
プロジェクトマネージャー
(エンジニア)
契約書SaaS企業指定のひな型利用。
変更は禁止。
SIer企業指定のひな型をベースに、顧客企業の法務部門と交渉する。
内容変更あり。
営業が社内で
追う目標数字
売上売上
粗利

SaaS営業の場合、提案する商材から説明資料まである程度の型が作られており、その枠組みの中でいかに効率的に顧客へ価値を訴求して受注数を稼ぐかという考えになります。

一方でSIer営業は、提案する商材の線引きが明確に決まっていません

ヒアリングした顧客の課題にマッチする製品がなければ、自社でゼロから作ることになります。

SIerのソリューション営業の場合は特定の製品を提案しますが、顧客の要望によってはカスタマイズしたり他社製品と組み合わせた提案もします。

「今存在していないもの」や「存在していない組み合わせ」を提案するので、提案資料から契約書まで全部イチから作ります。

営業が全部一人で作ることは不可能です。

技術部門、財務部門、法務部門といった関連部門の協力を得ながら、提案内容を準備していきます。

以下の記事では、実際にSIer営業がどんな流れで提案を作って契約締結まで至るのか、筆者の実体験を紹介しています。

担当顧客におけるシステム開発プロジェクトの円滑な進行を支援

SIer営業の担当案件における重要な役割の1つに『担当顧客のプロジェクトが円滑に進行しているかチェックし、トラブルが発生しそうな場合は対策検討を起案する』があります。

SIer営業にとってシステム提案は業務の一部に過ぎません。

SaaS営業と異なり、提案以外にも多くの業務が存在します。

そのうちの1つが担当するプロジェクトの支援です。

SIerに入社して営業として着任すると、まずは担当する顧客を任命されます。
「担当する顧客」とは、既に自社と取引のある既存顧客です。

取引実績が全く無い会社名を告げられて「この企業に対してゼロから売上数字を作ってね」と告げられるようなケースはかなり稀です。

それでは効率が悪いためです。

「既に自社と取引のある既存顧客」ということは、システム開発プロジェクトが既に進行していたり、既に開発し終えてシステムが稼働していたりします。

SaaS営業

開発プロジェクトの進行チェックって…

それはエンジニアの仕事ではないのですか?

確かに、例えば「このバグをどうやって修正するか?」といった技術的な解決策はエンジニアが考えることです。

一方で、プロジェクトを円滑に進めて成功に導くためには、技術的な要素以外にも注意すべきポイントがたくさんあります

技術以外で注意すべきポイント
  • プロジェクトは予定通り進行しているか?
  • 当社の仕事の進め方について顧客は満足しているか?
  • 今後プロジェクトを進めていくうえで不安な要素はないか?
  • 受注した金額通りに仕事を進められそうか?
SaaS営業

これって、システム開発のプロジェクトマネージャーが管理する内容ではないのですか?

SIer営業

確かに、これらはプロジェクトマネージャーの仕事でもあります。

一方で、SIer営業も状況を把握し、プロジェクトマネージャーと一緒に対策を検討・実行していくことが求められます。

なぜならば、SIer営業は担当するプロジェクトの収益に責任を持つからです。

担当する案件が最終的に赤字になればSIer営業も責任を問われます。

案件・プロジェクトが問題なく完了して、会社に利益を出すこともSIer営業の役割です。
そのためには、進行中の案件・プロジェクトの問題解決を先導することも必要です。

取り組むべき問題の種類は多岐にわたります。

SIer営業

以下は私が過去勤務した中で発生し、解決に取り組んだ問題の例です。

以下は私が過去勤務した中で発生し、解決に取り組んだ問題の例です。

スケジュールの問題開発するシステムの中の1部品として採用した外部製品に重大な欠陥が見つかり、このままだと納期に遅れが出そう
チーム人員の問題開発チームの中の優秀なエンジニアが急遽退職することになった
開発チームのAさんとBさんの相性が悪く、度々ケンカする
開発チームのCさんが出社しなくなった
顧客対応の問題先月顧客と合意した機能の内容について、顧客担当者が「そんなこと言っていない」と変更を要望してきた
顧客側の担当者が異動により後任の担当者が配置された。
しかし引継ぎが全くされておらず、顧客との会議が毎度円滑に進まない。
SaaS営業

いろいろありますね…

SIer営業

問題を検知したら関係者を集めて、原因は何か?対策はどうするか?等を話し合い、行動に移していきます。

見積・お金・契約関連の顧客対応

担当する顧客から見積依頼を受けたら、営業が窓口になって対応します。

見積依頼の内容は様々です。

見積依頼の分類具体的依頼 例
機能追加今使っているシステムに機能追加したいのでその見積が欲しい
メンテナンス系今動かしているシステムのOSをバージョンアップする際の見積が欲しい
ライセンス数追加系システムを使うユーザーが増える。
今使っているソフトはユーザー人数に応じて課金されるので、ユーザー追加費用の見積が欲しい
機器購入系社員を増やすので、社用PC・社用携帯の100台追加分の見積が欲しい

依頼内容がざっくりしたものか、具体的なものかで見積作業のハードルは大きく変動します。
具体的であればあるほど、見積作業は簡単です。
もしも製品を指定されたなら、SEに相談することなく営業だけで見積るケースも多いです。

顧客担当者

メーカーA社製の製品X、製品型番は001、これの10個分の見積をください。

SIer営業

承知しました!
(製品指定してくれると、言われた通りの製品を見積るだけでいいから助かるぜ・・・!)

依頼内容が抽象的であるほど、見積の難度は上がります

顧客担当者

今のシステムについて「使いにくい」という声が上がっています。
ユーザーが喜ぶ、イイ感じの機能を追加する際の見積をください。

SIer営業

(何を見積もったらいいのだろうか・・・)

まともなSIer営業は、顧客から受けた見積依頼の内容について詳細をヒアリングします。
中には顧客から受けた依頼内容をそのままエンジニアに丸投げするSIer営業もいますが、こういうSIer営業はエンジニアから信頼されません。

尚、このシステムを開発するのにどれくらいの作業量がかかるか?といった作業の見積もりはエンジニアが対応します。

SIer営業の年収【筆者の体験談】

大手SIerの平均年収は高めです。

大手SIer企業平均年収
野村総合研究所1,232万円
オービック960万円
伊藤忠テクノソリューションズ941万円
ネットワンシステムズ869万円
富士通859万円
NTTデータ852万円
日鉄ソリューションズ845万円
NEC814万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey

尚、SIer企業はSaaS企業と異なり、一定の年次までは成果に関係なく年功序列で年収が上がっていきます。

その後、評価の高い一部の層が課長、部長へと昇進します。

中途入社者の給与テーブルは以下のイメージです。

役職SIer営業の年収
なし年齢やスキルに応じて500~700万
係長、マネージャー600~900万
課長、グループリーダー900~1,000万
部長以上1,000~1,200万

SIer営業の係長~課長クラスの年収が、SaaS企業の営業部長クラスと同程度です。

成果を上げていない役職なし中年社員でも年収700万程度もらえるため、SIer企業はSaaS企業と比べるとかなりコスパがいいです。

私が新卒入社した時から退職するまでの、年収の変遷は以下の通りです。

入社年次年齢役職年収
1年目23歳なし320万
2年目24歳400万
3年目25歳450万
4年目26歳480万
5年目27歳590万
6年目28歳650万
7年目29歳730万
8年目30歳800万
9年目31歳マネージャー830万

きついSaaS営業と比較したSIer営業のメリット

実際にSIer営業とSaaS営業を両方体験した私が感じるSIer企業のメリットは以下の3点です。

  • 大手SIerなら実力・成果を問わず高年収
  • エンプラ営業経験を積んで市場価値が上がる
  • 幅広いスキルが身につく

順に解説します。

大手SIerなら実力・成果を問わず高年収

大手SIer企業は年功序列の給与体系をとっているため、大した成果をあげず目標未達でも年収700万以上は確実にもらえます。

今SaaS営業で毎日数字に追われるあなたは信じられないかもしれませんが、年功序列型の企業では、自分の成果は年収にほとんど反映されません

私が所属していたSIer企業における、年収へ影響する要素の一覧は以下の通りです。

年収へ影響を
与える
解説
要素度合
年齢絶大年功序列型のSIer企業において絶大な影響力を持つ。
実力よりも年齢に応じて給料が決まる。

例えば、「年収800万の役職無し40代営業が顧客からクレームを受けて担当を外され、後任として年収400万の25歳営業をあてがう」ケースがある。
年収800万の役職無し40代営業では対応できなかった業務を、年収400万の25歳営業が対応する。
役職一定の年齢を超えると、役職の有無で年収に差が出る。

【例】同じ40歳のSIer営業でも、課長職なら年収1,000万、役職無いなら年収800万。

役職無しでも年収は高いので、出世をあきらめている中年社員は多い。
所属部署の業績その年の部署の業績が良かった場合は、業績評価としてボーナスが上がる。

額の幅は10~50万程度。
あくまでも臨時のボーナスであり、毎月の基本給には影響しない。
自分の成果極小自分が数億円の受注を成し遂げても、それを理由に個人の年収やボーナスは上がらない。

臨時で表彰されると、表彰金が数万円もらえることも。

成果を積み上げて毎年高評価を受けると、昇進のチャンスをもらえる。
昇進すれば役職UPで年収UPへつながる。

言い換えると、大した成果を上げていなくても、以下の年収はもらえるということです。

  • 20代後半:500~700万
  • 30代:600~800万
  • 40台:800万

成果をあげずにぬくぬくと仕事していても年収800万程度もらえるのが大手SIer営業の良いところです。

大企業向け営業経験を積んで市場価値が上がる

SIer営業として真面目に仕事していれば市場価値は上がります。

なぜならば、SIer企業の顧客はほとんどが大企業であり、大企業向けの営業経験を詰めるからです。

SIerのシステム開発提案の金額規模は数千万~数です。

決してぼったくっているわけではなく、提案先の企業向けに個別でシステムを作る場合はこれくらいかかるのが普通です。

すると、SIerに対してシステム開発を発注する企業は、必然的に数千万~数億円を支払える大企業に限定されます。

SIer営業が担当する顧客はほとんどが大企業となります。

大企業向けの営業スキルは特殊

実は、中小企業向けと大企業向けとで、必要な営業スキルは異なります。
実際、あなたが所属するSaaS企業でも、大企業向けの営業は「エンタープライズ営業」として、通常の営業部隊とは別に組織しているはずです。

特に、大企業向けの営業では「複数の関係者と合意形成していくスキル」が高いレベルで求められます。

なぜならば、中小企業と異なり、大企業では関係する部署・人物が増えるからです。

大企業向け営業と中小企業向け営業の違い
大企業向け営業中小企業向け営業
顧客側の関係者業務部門の担当者・部長
部長各営業支店の担当者・部長
情報システム部門の担当者・部長
購買部門の担当者・部長
担当者、部長
稟議ルート顧客企業内で明確に規定されている。

【例】
各部門の責任者が承認

経営会議で承認

取締役会で決議
社長の承認のみ

顧客企業内の複数の関係者と合意していくには、例えば以下を気にしながら慎重かつ丁寧にコミュニケーションを重ねる必要があります。

複数関係者と合意形成する際の
考慮ポイント
  • 関係者それぞれの性格・思惑
  • 自社の提案が、関係者それぞれにとってどんなメリットがあるか
  • 関係者同士の力関係や関係性

以上を気にしながら提案を進めていかないと、数千万~数億といった額の発注を大企業からもらうことはできません。

大企業向けの営業スキルは貴重

大企業向けの営業スキルを身につけるには現場でのある程度の経験が必要です。

通常、SaaS営業は入社後何度か社内でロールプレイングを実施して、合格が出たら一人前の営業として一人で顧客へ提案しにいきます。

一方で、大企業を相手にするSIer営業の世界では、「ロープレで合格したら一人で営業させる」という手法は絶対にとりません

大企業への営業スキルは、数時間ロープレしただけでは決して身に着かず、現場経験を通じて習得していくものだからです。

SIer営業として着任した場合、しばらくは上司と一緒に営業活動をしていくことになります。
その過程で都度フィードバックを受けながら、大企業向けの営業スキルを身につけていくのです。

SIer営業になれば、貴重な大企業向け営業スキルを身につけ、転職市場での市場価値を高められます。

SIer営業のデメリットは社内調整の多さ

実際にSIer営業を9年経験した私が感じるSIer営業のデメリットは社内調整の多さです。

SIer営業は決められた商品・サービスを提案するわけではありません。
顧客の課題に応じて、提案する内容を個別に作り上げます。

営業が自分一人で提案を作ることは不可能であり、複数の部署と協同で考えることになります。
そのため、SIer営業は、社内の多くの関係者と合意形成しながら提案を前に進めなければなりません。

一方で、SIer営業の「担当顧客へ提案したい」という思いとは関係なく、社内の関係者はそれぞれ自分のミッションを持っています。

ただ単に「提案したいから協力してほしい」と依頼しても合意はもらえないこともあります。

あなたの提案を否定する声が出ることも珍しくありません。

社内の複数の関係者のミッション、思惑、スキル、性格等を考慮しながら、何かを依頼して協力を引き出さなければ、顧客向けの提案は実現しないのです。

この社内調整の仕事量は、SaaS営業と比べると遥かに多いです。

SaaS営業がきつい人はSIer営業で活躍できる

SaaS営業がきついと感じている人は、以下のような思いはありませんか?

SaaS営業

もっと1つ1つの案件を深堀して顧客と向き合いたい…

とにかく数を追う営業は精神的にきつい…

SaaS営業

顧客の真の課題を解決できる提案をしたい…

自社の製品をゴリ押すSaaS営業はきつい…

以上の理由でSaaS営業がきついと感じている人は、SIer営業で活躍できます。

なぜならば、SIer営業とは、1つ1つの案件を深堀して、顧客の真の課題を解決する提案を作る仕事だからです。

SIer営業になればあなたの理想の営業スタイルを手に入れられます。

SaaS営業のレベルは実はSIer営業の標準レベルと同じくらい

SIer営業とSaaS営業の両方を経験した私の感想では、SaaS営業はSIer営業になれば活躍できる可能性が高いです。

なぜならば、SaaS営業は「課題をヒアリングし提案して、受注のために追客する」という営業の基本動作が身に着いているからです。

基本動作を見つけたSaaS営業がSIer営業に転職した直後の、SIer営業内のレベルランキングは以下のイメージです。

順位SIer営業の層解説
1位エース級SIer営業トップ層。

大企業向けに数億規模の提案をまとめあげ、受注する。

受注後も丁寧に開発PJをフォローし、顧客と社内両方から絶大な信頼を得ている。
2位優等生SIer営業順当にSIer営業スキルを積み上げてきた層。

丁寧な仕事ぶりを背景に顧客と社内両方から信用され、担当する予算を着実に達成していく。
3位普通のSIer営業仕事は覚えて自発的に提案活動しているものの、まだ脇が甘く上司や社内からのフォローを必要としている層。

本人の努力次第で優等生SIer営業へ成長できる。
SaaS営業から転職した直後のSIer営業SaaS営業時代の経験から、商談を前に進めていくスキルがあり営業力は社内からも評価されている。

一方で大企業向け提案で必要とされる営業スキルや社内調整スキルはまだ経験が浅いため上司のフォロー・アドバイスが必要。

本人の努力次第で優等生SIer営業へ成長できる。
4位評価の低いSIer営業顧客から言われたことをそのまま技術部門に丸投げする、予算やスケジュール等の最低限のことを確認し忘れる、顧客とのやりとりはSEに任せる等、営業としての基本動作ができない層。

顧客からも信用されず、見積書や請求書等の書類作成役になっている。
SaaS営業

え…?営業として最低限のこともできないSIer営業なんているんですか…?

SIer営業

実際、いました。

そして、彼らはそれでも年収700万以上もらえていました。

【SIer営業の闇】営業として機能していないSIer営業が存在する

実は、人が潤沢にいた2000年以前は、営業よりもエンジニアが顧客と直接やりとりしてしまうケースは珍しくありませんでした。

すると、顧客の課題ヒアリングから予算の確認といった本来営業がやるべき仕事まで、SEに任せてしまう営業が一定層出てくるのです。

彼らは見積書や請求書を作るといった事務作業員として機能していました。

しかし、2010年代以降は需要に対するエンジニアの人手が足りなくなり始め、エンジニアが営業の仕事も代行する余裕は無くなりました。

一方でそれまで営業活動をエンジニアに任せていたSIer営業は営業の経験が浅いため、営業としての基本動作すらできない層になってしまっていたのです。

彼らに比べれば、SaaS営業としてバリバリ営業してきたあなたは圧倒的に優位にいます。

例えSIer業界の経験はなくても、SIer営業になれば相対的に仕事ができる人と評価されます。

SIerは絶対になくならない理由

SaaS営業

でも、SIerって将来性ないって聞きませんか?

最近は便利なSaaSがたくさん生まれているから、企業はSIerを頼ってシステムを作らずに全部SaaSで事足りる世界がくるのでは…?

20年前と比べると、SaaS業界がSIerのビジネスを浸食しているのはまぎれもない事実です。

しかし、SIerの仕事が世の中から消えることはありえません。

なぜならば、全ての企業が自社のシステムを全てSaaS製品で賄うことはありえないからです。

現在の企業活動では、情報システム戦略が企業の競争力の源泉になっています。

どんなシステムをどうビジネスに活用するかが、市場での勝ち負けを決めるのです。
企業が自社の情報システムを全て汎用的なSaaSで代替していたら、他社との差別化ができません

自社の競争力の源泉となる本丸のシステムは、汎用的なSaaSを使わず、大規模な投資をして極秘の独自システムを開発するのが定石です。

だから、SIerの仕事がなくなることはありえません。

きついSaaS営業が転職先に選んではいけないSIer企業

SIer業界はなくなりませんが、SaaS業界との競争をふまえて一部が淘汰される可能性はあります。

そのため、転職先として中小SIer企業はなるべく避けた方が良いです。

なぜならば、中小SIerにとっての市場である中小企業向けのシステム開発市場は、SaaS業界のターゲットと重なるからです。

SaaS業界は1つのシステムを複数の顧客企業に使ってもらうことを前提に、顧客1社が負担するコストを抑えています。

一方で、顧客1社向けにシステムを開発したり、パッケージソフトをカスタマイズするSIerは、そのコストを顧客1社から回収しなければなりません。

1社に対する提案の価格競争力は、SaaS企業がSIer企業を圧倒しています。

大企業であれば、システムに対する要望が複雑且つ多岐にわたりaaSでは対応しきれないため、安くい分要望を満たせないSaaSよりも、高くても要望を満たしてくれるSIerを選びます。

一方で中小企業は大企業に比べればシステムへの要望は少なく、SaaSで事足りるため、安価なSaaSを選ぶ可能性が高いのです。

SaaS営業にオススメのSIer企業

以上をふまえ、SaaS営業からのSIer営業へ転職するなら、選ぶべきは大手SIer企業です。

実際にSIer営業経験がある私が選ぶ、オススメの大手SIer企業は以下の通りです。

大手SIer企業平均年収
野村総合研究所1,232万円
オービック960万円
伊藤忠テクノソリューションズ941万円
SCSK752万円
富士通859万円
NTTデータ852万円
日鉄ソリューションズ845万円
NEC814万円
日立製作所896万円
TIS701万円
日本ユニシス837万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey

SaaS営業

こんな大手のSIerに転職できるのですか?私は大企業で働いた経験はないのですが…

今SaaS営業のあなたら転職できる可能性は十分にあります・

実際、私はSaaS営業時代も一応職務経歴書を転職エージェントサイトに登録していましたが、上記の複数社からスカウトメールを受けました。

尚、実は大手SIer企業も、BtoB向けのSaaS企業の存在は意識しています。

大企業向けのシステムはSIerが有利とは言いましたが、それでも一部では大企業がSaaSを採用するケースも増えつつあります。

SIer営業の上位層も、「SaaS企業はどんな営業ノウハウを持っているのか」「少しでもSIer営業のノウハウに取り入れられないか」と興味深々であり、SaaS営業経験者へのニーズは高いです。

SaaS営業からSIer営業を目指す人向けの転職エージェント

大手SIer営業を目指す場合、使うべき転職エージェントは限られます

なぜなら、大手SIer企業は、闇雲に幅広く転職エージェントと付き合うのではなく、ハイレベルな人材が集まる転職エージェント経由でしか応募を受け付けていないからです。

SaaS営業からSIer営業は十分目指せますが、それでも大手SIer企業の人材は基本的にハイクラスです。

大手SIer企業は新卒入社の学歴フィルターも高めです。

2012年に新卒で大手SIerに入った際、同期の学歴は以下のような割合でした。

  • 東大・京大卒:10%
  • 東工大・一橋大:10%
  • 地方国公立:35%
  • 早稲田・慶應:35%
  • MARCH:10%

大手SIerは「元気で明るくて素直な人」というレベルの人材は採用しません。
一定レベルの地頭の良さを求めます

そのため、一般的にはオススメされている転職エージェントも、大手SIerへの転職目的なら避けるべきです。

大手SIer営業を目指す際にオススメの転職エージェントは以下の通りです。

転職
エージェント

リクルートエージェント


JACリクルートメント
SIer営業への転職時の
オススメ度合い
登録する価値ありオススメしない一番オススメ
解説業界TOPの転職エージェントでありハイクラス人材も集まりやすい考えられ、大手SIer企業も皆求人を出している。若手人材は多いものの、SIer企業が求めるハイレベル人材は少ないと思われている。コンセプトがハイクラス人材をターゲットとしているため、大手SIer企業が求人を出しやすい。
タイトル公式サイト公式サイト公式サイト

SIer営業に興味がある人が登録すべき転職エージェントはリクルートエージェントJACリクルートメントです。

マイナビエージェント等、他の転職エージェントはオススメしません。

SaaS営業

リクルートエージェントとJACリクルートメントならどちらがオススメですか?

SIer営業

しいて言うならJACリクルートメントです。

なぜならば、「リクルートエージェントは業界TOPで人材が多い」というコンセプトですが、JACリクルートメントは「ハイクラス人材に特化」というコンセプトだからです。

ハイクラス人材を求める大手SIer企業がどちらへ優先的に人材紹介依頼を出しているかといえば、JACリクルートメントのはずです。

SaaS営業がきつい人はSIer営業で高い年収と市場価値を上げよう

以上、SaaS営業がSIer営業として活躍できる理由と、SIer営業の仕事内容やメリットを紹介してきました。

大手SIer営業は、無茶なノルマに追われることなく、成果の有無に関わらず年収700万以上もらえる。

SaaS営業はIT業界の営業の基本動作を身につけている分、SIer営業へ転職しやすく、入社後も評価される

更に大企業向けの営業スキルを身につけて、市場価値が着実に高まる。

大手SIer営業を目指すなら、ハイレベル人材に特化したJACリクルートメントを活用する。

SaaS営業から次のキャリアを考えている人は、是非一度SIer営業を目指してください。